長門湯本みらいプロジェクト

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長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第七弾は、有限会社カネミツヒロシ セッケイシツの金光弘志さん。穏やかで落ち着いた雰囲気と、優しい笑顔が印象的な金光さん。そんな金光さんに、ランドスケープデザインの役割や、長門湯本温泉の印象などをじっくりお聞きしました。

長門湯本デザイン会議メンバー 金光弘志さん

お気に入りの音信川を背景に。月一回のデザイン会議出席だけで無く、現地の調査や打ち合わせで、長門市には頻繁に訪れるそうです。

湯本みらい
金光さんは、長門湯本温泉で「ランドスケープデザイン」の分野を担当されています。ランドスケープ・・・最近ではよくきかれるようになった言葉ですが、どんなことを言うのでしょうか?
金光さん
ランドスケープとは「人間をとりまく環境の眺め」です。景観とか風景と訳されます。環境とは「取り囲んでいる周りの世界」です。眺めは人が意識することで獲得することができます。ですから、人間の目の前にはっきりと存在しているものごとの眺めがランドスケープです。その眺めを直接的あるいは間接的な操作によって美的で文化的なものとするために行う創造的行為の総称がランドスケープデザインです。
湯本みらい
かなり広範囲な分野なんですね!
金光さん
そうなんです。建築・都市計画・土木など色々な分野を巻き込んでいます。日本では古来からの庭園文化がありますが、近代以降造園として引き継いでいる部分もあります。樹木や舗装やベンチといった外部空間要素のデザインだけではなく、建築や土木構造物そのものの見え方、それらと周辺の自然(山並み、田園など)との関係性なども計画していきます。さらには、人々が活き活きと生活するためにどのような仕掛けが必要かといったことも考えたりする分野です。
湯本みらい
どちらかと言うと、ハード面での整備をしていくことがランドスケープデザインなのかなと思っていましたが、温泉街に住んでいる人や遊びにきた人が楽しめるように、と取り組んでいることもランドスケープデザインになるということですね。
金光さん
それも眺めですからね。
長門湯本デザイン会議メンバー 金光弘志さん

毎月行われる長門湯本温泉街観光まちづくり計画デザイン会議での一コマ。様々な専門家が集まり、白熱の議論は、長時間に及びます。

湯本みらい
そうすると、金光さんの仕事はずいぶんと多岐に渡りますか?
金光さん
そうですね。でも多岐に渡るランドスケープデザインにおいて、ひとりで全ての事柄を専門的に扱うことはできません。ランドスケープの中でも分野は分かれていてそれぞれの専門性がありますから、プロジェクトの特徴に応じて色々な専門家の方に入っていただくことになります。私は全体計画、ハード要素のデザイン、植栽計画等が専門となります。
湯本みらい
長門湯本温泉の観光まちづくりでも「デザイン会議」では、熱い想いを持った様々な分野の専門家の方々が一同に会しますもんね!
金光さん
このプロジェクトのように、分野を越えて関係者が一同に集まる場があることは素晴らしいです。私の普段の仕事では、建築家や照明デザイナーやアートディレクター等、いわゆるデザイン分野の面々がコラボレーションして、コツコツと設計している、ということが多いですから。
長門湯本デザイン会議メンバー 金光弘志さん

2017年4月、長門湯本温泉観光まちづくり事業景観ガイドライン関係者をつれて、工事予定地を案内する金光さん。

湯本みらい
デザイン会議では、柵の高さを決めるだけでもみなさん随分と白熱していました。
金光さん
柵ひとつをとっても、それぞれの立場での意見がありますからね!市民の方々の意見はもちろん、デザインや安全性、予算など・・・色々な見方がありますから、私ひとりで決めるのではなく、それらのバランスを考えて決めています。
湯本みらい
金光さんには2016年1月から関わっていただいていますが、長門湯本温泉街の、最初の印象はどうでしたか?
金光さん
音信川の岩が露出した表情や遊歩道、路地や石積みで仕切られた段々状の土地、山に囲まれた谷状の地形が特徴的で、広すぎず狭すぎず適度に周囲に守られているような、いいスケール感の温泉街だと感じました。

時には、大きな模型を交えて、計画の説明を行う金光さん。街全体から、駐車場、竹林の階段など、それぞれに模型が制作されています。

湯本みらい
どんな風にデザインしていこうと思われましたか?
金光さん
デザインする、というと斬新で目新しいものをつくっていくこと、と受けとられがちですが、既に湯本にある良い景観要素を上手に生かして、雰囲気を残しながら、温泉街を歩く人の姿が主役になる背景や舞台装置のような施設がデザインできれば良いと考えています。何げなく人が佇みたくなる場所や、歩きたくなる場所、例えばちょっとした高さの段差があれば座りたくなるような仕掛けです。形や物が人に意味を与える、アフォーダンスの概念です。
湯本みらい
アフォーダンス??
金光さん
アフォードは与えるという意味で、アフォーダンスは造語です。心理学の概念なのですが・・・例えば、40cm程度の段差は人に座るという動作をアフォードしている、といったように環境が人に与える意味のことです。素敵な視点場があっても、いかにもここに座りなさいといったデザインのベンチではなく、湯本の風景に馴染んでいて何気なく腰掛けられるような要素があったり、路地の先におもてなしの飾りがみえてちょっと歩きたくなったりと、さりげなく人を佇ませたり、動かしたりするような、そんなことができるといいなと思うんです。

金光さんが担当しているランドスケープのイメージパースの一枚。様々な議論を経ながら、少しずつ完成に近づいています。

印象的な「竹林の階段」のイメージパース。来訪者のまち歩きは、ここからゆっくりと始まるんですね。

湯本みらい
それで、川辺へと降りていける階段の幅も広くとられているんですね?
金光さん
そのように捉えてもらえると嬉しいです。川辺へ向かう階段が広ければ無意識に降りてみたくなりますよね。観光地ですから、おいしいものを食べたり、照明に趣があったりするのは訪れた人たちにとってインプットされやすい要素ですが、意識していなかったけれど、街並みに情緒があった、なんとなくこの街が好きになった、という感想を持ってもらうことも重要だと思うんです。難しいことですけど、このやりすぎない感を意識させないデザインをしたい気持ちがあります。
湯本みらい
その“なんとなく”にもいろいろな仕掛けがあったんですね!
金光さん
専門家だけでなく、地域のみなさんも一緒になって、やりすぎた感を意識させない“なんとなく湯本好き”といったまちづくりができたらいいなと思っています。意外と暮らしていると当たり前になっている景観が良かったりするんです。
湯本みらい
暮らしていると、気付かなかったり、忘れてしまったり、しますよね。
金光さん
色々なところで仕事をさせてもらうと、大体地元の人はこんな田舎で何もないところっていうんですけど、逆に私からすると新鮮で素敵な場所や要素がたくさんあります。そうした皆さんが発見というか意識できていないものを、外から来た人から刺激を与えて、地元の方が上手に評価して活かしていくことができればいいなと思います。これは司令塔の泉さんや他のデザインチームメンバーが積極的に活動してくれているので、皆さんだんだん街に対する意識とか、街を変えようっていう意識が盛り上がってきているのを感じます。

金光さんのランドスケープデザインが、いち早く形になった上流側の「雁木広場」と「飛び石」。

長門湯本の魅力の一つ、水辺を楽しむ仕掛けに、休日には家族連れが楽しむの姿が見られます。

湯本みらい
そうですね!長門湯本温泉のランドスケープデザイン、ポイントはどこでしょうか。
金光さん
デザインの軸になっているのは国道沿いに設けられた駐車場から、音信川へと下っていく竹林の階段から竹林の路を経て雁木広場へと至る軸線です。初めて来た人に湯本の街を印象づけられる最初の場所になるので、とても重要です。この軸線から自然な流れで、音信川や恩湯やお店へと来訪者を誘導できればいいなと思います。
湯本みらい
川でいうと、社会実験という形ではありますが、川床の設置も実現したりと、構想は一歩ずつ実現しているように見えます。
金光さん
色々な方々の協力があって、マスタープランで描かせてもらった理想像が実現しているのは本当にすごいことです。
長門湯本デザイン会議メンバー 金光弘志さん

長門湯本の住民の方々に、整備計画を説明する金光さん。変化に伴う地域の方々の不安を、少しでも減らすための機会を重ねています。

湯本みらい
一方で、温泉街にお店が増えていくかどうか、という課題はありますよね。
金光さん
そうですね。ハード整備が完了しても、言ってみれば舞台の床を作っているみたいなものですから、床だけでは居心地は良くならないですよね。お店の中で佇む、何か飲める、食べられる、お土産を見て回る、ということができないと、滞在時間はなかなか増えないです。温泉街でどう過ごすか、という提案はやはりハードだけではできないので、事業者や地元の方々の取り組みに期待しています。
湯本みらい
地域の皆さんに期待することはありますか?
金光さん
観光地に行くと、植木鉢1つ置いてあったり、一輪の花や竹細工が玄関先に飾ってあるとか、そういったものを見るだけでも素敵だなと思うんです。仕事柄色々なところに仕事でもプライベートでも行きますが、本当に小さな街なんだけど、ちょっとしたおもてなしの心を感じると、なんだかホッとします。
湯本みらい
ホッとできる街、素敵ですね。
金光さん
小さなことでも、皆さんでやっていこうという意識が出てくるといいですね。 簡単なことではないと思うので、少しずつ、それが1年2年3年って積み重なってくると、10年後20年後にはもっと素敵になると思うんです。また、長門湯本には、例えば、先人が石を積み上げて土地をつくり守ってきた残っていますから、うまく継承していくべきだと感じています。
長門湯本デザイン会議メンバー 金光弘志さん

進行中の工事現場で見つけたヘルメット姿の金光さん(中央左)。今後、様々な場所で姿をお見かけするかもしれませんね。

湯本みらい
石と言えば、先日も金光さんが現場で石合わせをしている姿を見て、衝撃を受けました。デザイナーさんが現場にいる、ということに。
金光さん
いやいや現場が一番大事なんですよ。設計時に様々な検討をして図面に表現しますが、図面だけでは把握できなかったり職人さんに伝えられないことが色々とあります。現場段階になって分かってくることや、施設ができはじめて分かってくること、現場で土を掘ってみて分かることとか。最終的には現場で物事を決めることが、デザインのクオリティーを保つために一番重要なんです。
湯本みらい
不測の事態っていうのもあるんですね。
金光さん
そうそう。だから本当はヘルメットをかぶって長靴はいて毎日現場を見ていたい。
長門湯本デザイン会議メンバー 金光弘志さん
湯本みらい
金光さん、これからもっと湯本に来る機会が多くなるんですか?湯本の現場に行ったら金光さんに会える。
金光さん
常駐はできませんがなるべく現場に来ることを考えています。これからが勝負です。デザインって全体系のことも重要ですが、ディテール(細部)をいかに綺麗に仕上げるかということもポイントなんです。部材の細かな納まり、舗装の目地、今まさに植え付けしている木の角度や向きも重要です。「この枝の向きを変えたいので45度くらい回して!」とか現場で口を出すので、親方や職人さんには嫌がられます(笑)でもそこは譲れません!
長門湯本デザイン会議メンバー 金光弘志さん

金光弘志さん

(有限会社カネミツヒロシセッケイシツ)

profile

1968年広島市出身

日本大学理工学部交通土木工学科卒業後、都市設計事務所、ランドスケープデザイン事務所勤務を経てカネミツヒロシセッケイシツ設立。
日本大学理工学部非常勤講師。

様々なビルディングタイプの公共及び民間建築の外部空間デザインを手がけている。
2016年星野リゾートのもとで「長門湯本温泉マスタープラン」のランドスケープデザインを担当。
2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

カネミツヒロシセッケイシツ http://www.khdo2004.com/

※長門市の公式ホームページに移動します。

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第六弾は、金剛住機株式会社の木村 大吾さん。デザインや設計から、DIYの現場まで、軽やかなフットワークと笑顔で実現して行く木村さん。今回は、木村さん自身がまちづくりとの関わるまでの経緯や、リノベーションへの熱い想いなど、たっぷりとお聞きして来ました。

 

デザイン会議メンバー木村大吾さん

下関を拠点に、県内から福岡まで、幅広く「まちづくり」の輪を広げる木村さん。長門湯本でも大きな役割を果たしている。

湯本みらい
木村さんはこれまで、下関で数々のリノベーションを通してまちづくりに貢献されてきました。以前は東京で設計事務所にお勤めだったとおききしましたが、下関にUターンされたんですね。
木村さん
はい、ちょうど10年前です。山口で大学院を出たあと広島と東京で4年間、設計事務所で働き、地元に帰ってきました。僕自身はまだまだ東京で設計を勉強したいところだったんですが、父の建築会社の人材不足などもあり、さんざんすねをかじってきた親への孝行は今しかできないのかもしれない、と思って決断しました。
湯本みらい
若いのに、決心しましたね!
木村さん
実は、設計で食べていけるのかという不安もありました。夜中までずっと休みなく働いて、こんな暮らしでいいのかと。子供ができたら、自分の幼少期がそうだったように家族と過ごす時間を大切にしたいと思っていたので、スローライフを求めて帰ってきた、というのもあります。

設計からDIYの指導まで、木村さんが関わったcafe&pottery音。長門湯本の新しいまちづくりの象徴として大きく注目されている。

湯本みらい
ご実家は建設業ですよね?新しいものを立てるイメージがありますが、リノベーションやまちづくりに関わるようになったのはなぜですか?
木村さん
下関に戻ることになって、戻る前に北欧4ヵ国を回ってきてから戻ってきたんです。好きな建築家がいて、見に行きたくて。ヨーロッパでもそうですが、北欧では古い建物をうまく活用していて、それにガラス張りの建物を入れたりとか、古いものと新しいものがかっこよく調和しているのを見て、こういうことをやらないといけないな、と思いました。
湯本みらい
当時の下関の街並みはどうでしたか?
木村さん
戻るたびに良い建物がどんどん壊されて、なんだか知らない街になっていくような感じに、違和感を持っていました。時代の流れとしてリノベーションが流行りだしてもいましたし、小さい会社ですから、競合店との差別化を意識したのもありました。
デザイン会議メンバー木村大吾さん

cafe&pottery音での「解体DIY」の一コマ。木村さんの指導で「安全に、解体作業を楽しむ!」人たちが市内外から集まった。

湯本みらい
実際戻られて、リノベーションのオファーは順調にありましたか?
木村さん
いえいえ、帰ってきたばかりの、何者かもわからない僕にすぐに仕事なんてきません。 リノベーションがやりたいからと言って、すぐに建物や人が現れるわけでもないですから。 でも下関の現状を知っていく中で、知り合いの方が取り壊されることになっている築100年くらいの木造の廃校で、カフェをしたいと思っているのを知って。まずはリユースから始めてみることにしたんです。
湯本みらい
リユースというと?
木村さん
場所(廃校)を貸してもらって、そこでイベントやワークショップをやることで、少しずつ人が集まってきました。若い人たちが面白そうなことやっていたり、一方で80歳のおばあちゃんが何十年ぶりに来たって、思い出話に花が咲いたり。そうすると、地元の人たちが、そこを残したいと思ってくださるようになって。結果その建物は壊されずに、リノベーションされ、カフェをオープンすることができました。
湯本みらい
そのことが木村さんの今やられているリモノセキ(Remonoseki Projekut)という活動につながっているんですね?
木村さん
そうです。建築家やデザインの方などとチームを組んで、建築を通して下関をリユース、リデザイン、リノベーションしていこうという想いでリモノセキとつけました。僕らの最初の想いは、壊されることになるとしても、使われずに忘れ去られた末ではなくて、最後の最後まで使い続けて惜しまれながらなくなる方が、建物は幸せなんじゃないかな、というところから始まっています。

2017年に行われた長門湯本での施工者ワークショップの模様。地元の建築・施工業者さんと一緒に現地を見ながら、リノベーションのアイデアを共有した。

湯本みらい
廃校のリユースをきっかけに、10年間でたくさんのリノベーションを手掛けてこられました。
木村さん
ちょうどそのタイミングで、当時下関のタウンマネージャーをされていた泉さん(現在、長門湯本デザイン会議の司令塔)に出会ったんです。泉さんと市役所の方が下関で面白いことをしている人を探していて、僕らもまちに、飲食店やゲストハウスがあれば、と思い描いていたところだったので、まちづくりのソフトの部分を任せていただくようになって。
湯本みらい
下関のウズハウス、かっこいいですよね!ゲストハウス、本当に作ってしまいましたね。
木村さん
まちに勢いがあると、自然と関わっていく人が増えていって、ゲストハウスをやりたいという方との出会いがあって。これをしなきゃ、あれをしなきゃって目標を設定していたわけじゃなく、想いが繋がっていったんです。僕自身もこのウズハウスを長門市役所の方などが見に来てくれたのがきっかけで、長門湯本に関わらせていただくことになりましたし。
湯本みらい
出会い、大切ですね。長門湯本にも木村さんはもう、なくてはならない存在。長門に来られて、まちの人に会って、どんな印象でしたか?
木村さん
この人たちとだったら、本当素直に、面白いことできるよなって思いました。 みんなすごく仲がいいし。民間だけじゃなくて、市の方々たちがユニークっていうのもこのいい空気を作っていると思いました。

木村さんがデザイン、制作した折りたたみ屋台は、社会実験の終了後も、地元の方々に広く活用されている。

湯本みらい
長門湯本では、どんな分野を担当されているのでしょうか。
木村さん
施工者ワークショップのアドバイザーだったり、イベントではたくさんの屋台を作りました。長門湯本のリノベーション第一号である「cafe&pottery 音」では設計はもちろん、家の解体から皆さんと一緒になって汗を流しました。河川公園で皆さんにもてなしていただいたお弁当、最高においしかったです。
湯本みらい
解体にはたくさんの方が集まってくれましたよね。木村さんがおっしゃったように、人と人が繋がっていき、まちづくりに関わってくださる方が増えてきています。今年は、長門湯本でどんなことに関わっていきたいですか?
木村さん
リノベーションに関わっていきたいのはもちろんなんですが、設計や施工は地元の方々にお任せして、僕はDIYの部分にフォーカスして、県内の面白い人などをもっと巻き込んでいけたらいいなと思っています。
湯本みらい
関心や興味をもってくださる方が増えていくのは本当にありがたいことですね。
木村さん
リノベーションのいいところってそこだと思うんです。学生たちも、どんどん巻き込んでいきたいですね。地域に関わることで、建築だけでなくまちづくりに興味を持ってもらえたら、ゆくゆくは一緒に働けたり。高校生や中学生、幼い子どもたちもDIYに参加することで、まちに思い出が増える、まちとの関わりが増える、いい機会だと思います。
デザイン会議メンバー木村大吾さん

長門湯本温泉街観光まちづくり計画デザイン会議にて。施工者ワークショップから、イベント屋台のデザインまで、役割は多岐にわたる。

湯本みらい
自分のまちの、いいところがみつかるかもしれない?
木村さん
ほんと、そう思います。帰ってきたときに、関わった場所がある、会える大人がいるって大きいですよ。親や友達以外の、地域の人たちとの関わりがなかなかないですから。昔はかっこいいおにいちゃんやおっちゃんがいる店、とかあったんですけどね。
湯本みらい
なるほど。DIYしながら、子どもたちがまちに帰ってきやすい環境を作っていくってこともできるということですね!地域の方々に期待することはありますか?
木村さん
空き家や材料をもっと提供していただけたら、面白いことがたくさんできるなと思います。どのまちでもそうですが、リノベーションって、理解あるオーナーさんがいて初めてできるものです。みなさんでチャレンジしやすい環境を作っていただけると、まちは変わっていきます。
湯本みらい
材料というのは?
木村さん
壊される建物の廃材をいただく、というのもそうですが、そのままにしておくと腐ってしまう建物の床だけでも上げてしまって、風通しをよくすると建物にとってもいいし、その時には廃材をお譲りしますよ、なんていう登録制があってもいいかもしれません。
湯本みらい
資材センターがあったりしたらいいですね。
木村さん
おもしろいですね。老朽化した建物などが、次の命のために上手にクリエイディブリユースされていくことになるといいですよね。昔は古返しって言ってたんですよ。民家や母屋を納屋に転用して、納屋を小屋にして、最後には薪にする、というような日本に昔からある文化です。
デザイン会議メンバー木村大吾さん

3人のパパでもある木村さん。休日には、家族連れで長門湯本に遊びに来てくれることも、しばしば。

湯本みらい
古き良き伝統を受け継ぎつつ・・・まさに長門湯本温泉街のリノベーションで大切にしていることです。
木村さん
長門湯本に関わり、リバーフェスタや社会実験なども横で見せていただいて、すごく勉強になったし、これからの下関を考えるいいきっかけにもなっています。長門のみなさんの、このいい空気感を、今度は下関に持っていきたいですね。広がりを大切に、山口県全体を盛り上げていきたいです!
デザイン会議メンバー木村大吾さん

木村 大吾さん

(金剛住機株式会社)

profile

1977年下関出身。結婚までは長門市仙崎(父の故郷)が本籍。金剛住機株式会社 取締役。一級建築士。3人のパパ。

山口大学工学部感性デザイン工学科卒業、同大学院理工学科修士課程修了。()現代計画研究所に入社し、広島と東京で勤務。2007年、家業の金剛住機()にUターン入社し、主にリノベーションの設計・施工、まちづくりに携わる。

※長門市の公式ホームページに移動します。

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第五弾は、株式会社日本海コンサルタントの片岸 将広さん。ディープに長門湯本地域にコミットしながらも旅人のように様々な愉しみを発掘している片岸さん。

今回はそんな片岸さんに、交通面から観光まちづくりへ参画された経緯やその手法、昨夏行われた社会実験「おとずれリバーフェスタ」での具体的な取り組みなどをお聞きしてきました。

長門湯本温泉デザイン会議メンバー片岸将広さん

毎月開催される長門湯本温泉観光まちづくり計画デザイン会議の様子。金沢を拠点に活動しながらも、会議には欠かさず出席する片岸さん。

湯本みらい
交通というフィールドから長門湯本温泉の観光まちづくり事業に参画されています。
片岸さん
元々は交通量調査が目的で、デザイン会議の司令塔である泉さんからお声がけいただいたんです。
湯本みらい
当初はエリアの交通がどう変わるか、という内容でしたね。
片岸さん
しかし交通量が少なかったので、まずは実態を把握しようということになったんです。
湯本みらい
長門湯本の住民の中にも調査をされていた方々がいらっしゃいました。そこに積み上げていく形になりますね。
片岸さん
はい、今回は13ヵ所にビデオカメラを設置し、車と人の流れを把握する目的で実施しました。

交通計画は住民の暮らしに直結する重要な課題とあって、議論は長時間かつ入念に行われる。

湯本みらい
加えて昨夏の社会実験「おとずれリバーフェスタ」でも調査されていましたね。
川岸さん
社会実験前と社会実験中の一方通行期間、対面通行の期間で計3回。端的に結果を言いますと、3割ぐらいが一方通行時には入って来ず、迂回して大寧寺方面に流れていく、といった感じでした。
湯本みらい
人の流れはどうでしたか?
川岸さん
一例として、どの方向から千代橋を渡り、どこへ向かう人が何人いたか、など細かく調査していきました。
湯本みらい
そもそも住民の方から合意を得て、実施にまで至るケースは全国的にも珍しいそうですが。
川岸さん
携わった中で長門湯本が初めて実現したケースです!合意形成の段階から反対されることが多くて。なので実験できること自体、とても凄いことです。

2017年9月〜10月に実施された社会実験での様子。車道の一部をワークショップブースとして活用し、多くの人が楽しんだ。

湯本みらい
片岸さんは、これまでに都市・地域計画や自転車交通計画などを担当されてきましたが、具体的にはどのような事業でしたか?
片岸さん
石川県金沢市で「サイガワあかりテラス」や「犀川リバーカフェ」の企画・開催の支援や「まちのり」というレンタルサイクルの企画・事業化にも携わってきました。
湯本みらい
その背景や実績から泉さんの目に留まったわけですね。それらの事業に関わることで何か変化はありましたか︖
片岸さん
実際に関わっていくなかで、良くも悪くも大きな変化がありました!それまでは計画をつくって終わることが多々ありましたが、実際に事業を運営する中でエンドユーザーの声を聞き、それらをまた次のプラン⼆ングに活かしていくということにやりがいや⾯⽩みを感じるようになりました。
湯本みらい
もう一方で悪い意味とは?
片岸さん
事業運営の現場は本当に⼤変ということがわかりました。今まで三人称的にこうした方がいいですよ、なんて言ってましたけど、現場はクレーム処理まで含めて本当に大変で。これまで無責任だったなって反省しましたね。

片岸さんが企画・事業化に携わった金沢市のレンタサイクル「まちのり」。市民生活や観光の利便性向上に大きく貢献している。

湯本みらい
片岸さんは「人」中心の道路空間をテーマに掲げておられます。具体的にはどういった内容でしょうか。
片岸さん
⼈とクルマが共存する「シェアドスペース」の実現です。「シェアドスペース」は、こっちが⾞道でこっちが歩道、と明確に区切らず、道路全体を歩⾏者優先とし、クルマの低速での通⾏を認めていくものです。道路空間上においてドライバーと歩行者が共存関係にあると、互いのアイコンタクトやコミュニケーションが高まっていく。歩⾞道境界を取っ払うことで、ここは車の空間だ!という意識がスピードとともに弱まり歩行者が歩きやすくなる、というオランダ発祥の考え方です。
湯本みらい
日本では一般的に浸透してないようですね。
片岸さん
まだ浸透率は低いかと。長門湯本では、道路や川が大きい面積を占めています。でもそこが自由に使えたり賑わっていると沿道にはない商業的なものが発生してきたり、新たな回遊性や経済効果などを生み出すきっかけに繋がると思うんです。

長門湯本で行われたリバーフェスタでの様子。人中心の道路空間が社会実験として実施され、様々なデータが収集された。

湯本みらい
道路空間の仕掛け。思ったより人々に与える影響が大きいんですね。
片岸さん
やはり路上駐車の列がずらりと並んでるよりも本来の姿に戻して皆で使える空間の方が、結果的に景観としての魅力はもちろん、エリア全体としての価値を高めることになると考えています。
湯本みらい
車窓からだけの景色より、車から降りてその地域から伝わってくる空気感や営み、人々の温度を感じ取れるような「まち歩き」をしたくなります。片岸さん自身も、その足で長門湯本を満喫されていますね!
片岸さん
もう温泉が好きで。恩湯には、ほぼ毎回行ってましたよ。他にも地元の方からたまげなすを貰ったり、焼き鳥や味噌カツちゃんぽんなど、大いに長門の食も楽しんでいます。
湯本みらい
長門湯本の魅力を発掘し続ける片岸さんが目指す、当事業での今後の展望をお聞かせください。
片岸さん
社会実験では、一方通行と道路空間を使った賑わいづくりなどを実験させていただきました。そこでの提言をもとに「エリア全体の交通がどうあるべきか」というプラン作りが次の大きなミッションだと考えています。緻密に設計された空間が人々の手に渡ったとき、その後の使い道をどうしていくのか。ここをしっかりとやっていきたいですね。 また、沿道の住民の方の意見に傾聴し、市の職員さんやデザイン会議メンバーとともに「人」が中心の道路空間づくりを目指したいと思っています。

片岸 将広さん

(日本海コンサルタント)

profile

(株)日本海コンサルタント社会事業本部計画研究室/金沢市公共レンタサイクル「まちのり」企画・運営担当/金沢片町まちづくり会議事務局スタッフ/大阪府大阪市出身(第二故郷:島根県松江市)/東住吉工業高校ではバスケに明け暮れ、松江高専で土木を学び、金沢大学に編入学。学生時代に都市計画を学び、現在は建設コンサルタントとして都市・地域計画や自転車交通計画等を担当。「まちのり」の企画・事業化に携わるほか、「サイガワあかりテラス」の企画・開催も支援。プランナー&プレイヤーとしてまちに関わることに生きがいを感じるタイプ。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

※長門市の公式ホームページに移動します。

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第四弾は、株式会社LEM空間工房代表、長町志穂さん。照明デザイナーである長町さんは、その明るさ、笑顔で、周りを元気にしてくれる、まるで“あかり”のような方。そんな長町さんに、あかりの持つ魅力や長門湯本の魅力、ご自身の想いなど、たっぷりお聞きしてきました!

長門湯本温泉デザイン会議メンバー長町さん
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湯本みらい
長町さんは「夜間景観」のご担当で長門湯本に関わられています。長町さんと言えば、スタッフのみなさんと一緒に照明機材担いで、トランシーバー片手に「右!ちょっと左向けて!」と現場できっちり作りこむ姿がとても印象に残っています。デザイナーってそこまでやるんだ、と。
長町さん
楽しいでしょ。照明って、見る人の気分を変えてくれますよね。そこを使う人や住んでいる人の気持ちが、自然とポジティブになるという大きな効果がある。元気が出たり、嬉しくなったり、ついつい告白しちゃったり、それが夜景の特徴であり、力ですよね。
湯本みらい
サンクス恩湯やリバーフェスタでは、まちの雰囲気がガラッと変わったことをたくさんの人が実感しました。
長町さん
照明でまちの雰囲気がまったく変わるっていうのは本当に事実です。あかりが灯るとみなさん幸せな気持ちになってくれるので、そういう意味ではとても得な仕事をさせてもらっていると思っています。 でも、あかりのイベントさえやればものすごく人がやってきて、劇的にその街が観光地に変身するみたいなイメージを持つ方もいらっしゃるんですけど、それは絶対にないです。一度に、いろんなことを同時に考えないとダメ。

毎月開催される長門湯本温泉観光まちづくり計画デザイン会議での長町さん。大阪や神戸をはじめとするライティングプロジェクトで全国を飛び回りながらも、デザイン会議には欠かさず出席してくれる。

湯本みらい
長門湯本では、単にまちをきれいに整備しましょう、ということでなく、川や空き地、空き家、道路、いろんな場所でいろんなチャレンジが進んでいます。
長町さん
例えばお茶が飲めなかったら、いくらきれいな公園でも、誰もそこにはついていないような。そういう仕掛けができる人とまちの動きが、同時に存在している今の長門はすごいと思います。
湯本みらい
実はもともと、最初の計画には、照明はあまり入ってなかったんですよ。
長町さん
マスタープランに夜間景観が入ってないのは、これはごく普通のことなんですよ。残念ながら照明そのものが例えば建築計画とか、都市計画とかランドスケープの「付帯物」っていう時代が長かったんですよね。でも、滞在型観光の温泉街で、夜間景観はとても大事。照明の重要性に気づき始めているまちでは、短期間で結果にも結びつきやすいこともあって、どんどん取り組みが始まっています。

2017年9月〜10月に開催された社会実験では、長町さんの主導で、橋、川床、樹木、提灯などの夜間照明の改善が行われ、多くの人が幻想的な雰囲気を楽しみました。

リバーフェスタのなかでも一際目を引いた「橋の上レストラン」でも、長町さんのライティングは大きな役割を果たしました。

湯本みらい
長門湯本も頑張らないといけないですね。
長町さん
長門湯本はとても珍しいケースなんです。通常は、いろいろやって、さらに何をどうしたらいいかが分からない、でもなんとかしたいというところで、照明やりましょうっていう話になることが多いんですが、長門湯本の場合は、これからまちを新しくしていこうという中で、最初から照明まで一緒に考えることができる。理想的な状態と言っても良いと思います。
湯本みらい
照明も一体になったマスタープランが、様々な分野の専門家の方々の力を借りて、少しずつ実現していくんですね!ワクワクします。
長町さん
大概の照明デザイナーは、大規模な商業施設などが出来たらそこで仕事するっていうのが、主な業務です。でも私の場合は、前からあったものにとても興味があるので、長門湯本の取り組みがそうであるように、前からあったまちの魅力を高めるということをすごく大切にしていて、そういうことをたくさんやりたいと思っています。まだまだ珍しいですが、私たちのような取り組みは、その価値にまさに気付かれ始めているときで。そういうことも含めて、新しいタイミングで起きてるプロジェクトだなと感じています。

2017年〜2018年に渡って、繰り返し行われている地元説明会での様子。地域の住民たちとまちの未来を共有するために、丁寧な説明を繰り返し行います。

湯本みらい
魅力を高めるということで言うと、実は照明だけでなくて、リバーフェスタの時には、長町さんご自身が地域の八百屋さんの店頭に立って、商品の見せ方、値札を工夫したりと大活躍でしたね!八百屋さんがいつの間にかオシャレな「ベジポート」になっていました。
長町さん
麦わら帽子かぶってね。照明に限らず、クリエイティブなことを考えたり、アイディアを出すことで、人の役に立つことが自分の使命なんだと思っています。もちろん自分自身が楽しいし、うまく皆が喜んでくれたり、商売が繁盛したり。そう実は、一番気にしているのは、本当に経済的効果が出るかどうか、ということです。
湯本みらい
そのあたりはもともと企業にいらっしゃったことが大きそうですね。
長町さん
私はもともと松下電工っていうパナソニックにいて、照明器具のデザインをやっていたんです。企業人として長い間、企業で利益を出していくということをミッションとして、デザインだけでなく商品開発も販売戦略もやらなければならなかった。デザインで夢を見るばかりではダメで、経済的に成り立たせながら、それを成り立たせるためのデザインが最大の武器になる、そういうやり方です。
湯本みらい
商店の方はいつもと違う雰囲気での販売を「忙しかったし、楽しかった!」と喜んでくださいました。
長町さん
嬉しいですね!本質的にはデザインは人の役に立って初めて幸せなんだ、と思っています。社会性というか。島根県の邑南町というまちでは、「INAKAイルミ」という取り組みをまちの皆さんと進めたんですが、まちの方が大事にしてきた、自然に囲まれた絵本に出てくるような美しい田舎に、まちの方と一緒に実行委員会を作って、手作りでハンダ付けしたり照明カバーを作ったりしながら、“ここにしかないかけがえのないあかり”を作り出すことができました。そして、地元のおじいさんに、満面の笑みで、楽しいしきれいで嬉しい、と言っていただけたんです。

リバーフェスタの期間中には、荒川商店さんの店先がお洒落なベジポートに大変身!照明だけに限定しないアイデアと行動力で、みんなを魅了します。

湯本みらい
長町さんが、単に照明・デザインだけでなく、まちの魅力を引き出すことや社会性といった部分に関心を持つようになったのは、何かきっかけがあったんですか?
長町さん
出会いに恵まれたのだと思います。たまたま飲み友達が、所属している団体に誘ってくださって、ランドスケープ、都市デザイン、集合住宅、といった分野の方々10名くらいが、目線が本質的な人ばかりで。なぜだか一度にそうした方たちに出会う出来事がありまして。「私の作品をやりたい!」っていうデザイナーみたいな世界ではなく、皆の幸せのために何ができるかを考えようみたいな方たち。そうするとまちづくりっていうもの自体がすごく面白くて。
湯本みらい
そういう経験があるからこそ、「湯本提灯」のアイデアが出てくるんでしょうね。公共のあかりだけでなく、住民の方、事業者の方も一体になって夜の情緒を演出していこうという。
長町さん
まちのあかりって絶対民間と公共両方が力を発揮しないと出来上がらないって、それは実感として思っています。民間の人が「僕たちができることからまずやる」と本腰を入れてやりだすと、ビックリするぐらいの力を発揮できるんです。まちが本当に変わっていく。だから私は、まちの人が動けば何かが変わるっていうことを、口先ではなく心から信じています。だけど一朝一夕にはできないことも想像できるので、皆でちょっとずつやっていけたらなと思っています。
湯本みらい
提灯はたくさんの方に参加していただけて、今でもまちにあかりが灯っています。
長町さん
参加型、大事です。地域の人にちょっとの手間で、でもやってみようかみたいなシナリオを考えて、参加してもらって。長門湯本には、自分がやっているっていう想いはきっと根付いていると思います。私は盆踊りの映像を拝見して、みなさん習慣的に参加して楽しまれている姿があったので、ポテンシャルがあると思っています。みなさんに参加してもらえるネタ、まだまだ考えていきますよ!
湯本みらい
お~それは楽しみです!

おとずれリバーフェスタでのとっておきの一枚。お隣は同じくデザイン会議メンバーの益尾 孝祐さん(アルセッド建築研究所)。

長町 志穂さん

(株式会社LEM空間工房 代表)

profile

株式会社LEM空間工房 代表取締役。京都工芸繊維大学・工芸学部卒業。京都造形芸術大学客員教授、京都工芸繊維大学非常勤講師。
「御堂筋イルミネーションコンペ2009・最優秀」「堂島大橋ライトアッププロポーザル・最優秀」「照明普及賞優秀施設賞2007,2010,2012」 グッドデザイン賞104点(松下電工株式会社勤務時代)など受賞多数。ライフワークは「世界あかりの旅」。世界の集落の探訪と街あかりの撮影をしている。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

LEM空間工房  www.lem-design.com/

※長門市の公式ホームページに移動します。

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第三弾は、株式会社アルセッド建築研究所の益尾 孝佑さん。ユーモアを交えた語り口と豪快な笑顔で、地元の方ともすぐに打ち解けていく益尾さんに、長門湯本において行われている先進的な景観づくりの進め方、時代とともに変遷する景観づくりの手法などをお聞きしてきました

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湯本みらい
まずは、長門湯本温泉の第一印象をお聞かせください。
益尾さん
音信川の圧倒的な魅力と大寧寺の歴史、深川萩の里の魅力に感動しました。もちろん、温泉も最高ですね!
湯本みらい
益尾さんは、長門湯本再生に向けた取り組みの中で、景観づくりのご担当をされていますね。
益尾さん
新しく、面白い挑戦をさせてもらっていると思います。
湯本みらい
そのように感じ取った取り組みは何でしたか。
益尾さん
「景観ガイドラインづくり」ですね。一般的なものとは違い、新しい要素が盛り込まれています。

毎月開催される長門湯本温泉観光まちづくり計画デザイン会議の様子。景観ガイドラインの策定はまちづくりの重要な項目とあって、真剣な議論が長時間に及ぶ。

湯本みらい
特にどのあたりが新しいのでしょうか。
益尾さん
長門湯本の景観ガイドラインでは、建物だけに特化せず、その地域で営まれる人々の生活や活動までを含めた「シーン景観」を生み出すことが重要なテーマとなっています。
湯本みらい
シーン景観..?あまり聞き慣れない言葉ですね。
益尾さん
生活景とも言います。例えば川床で一休みしたり、夜景とともに飲食を楽しんでいる人々の活動の様子も、景観の一部として捉える。これが当ガイドラインの特徴です。
湯本みらい
このコンセプトが具現化されたイベントが、昨年の夏に行われた「おとずれリバーフェスタ」という社会実験でしたね。
益尾さん
そうです。社会実験と連動しながら、温泉地としての生活景と町並みの維持再生の相互的な取り組みは、司令塔の泉さんをはじめとするデザイン会議のメンバーだからこそ実現できたと思います。

2017年9月〜10月には、景観ガイドラインの特徴の一つである生活景の実証実験で川床の活用が行われ、多くの人々で賑わった。

湯本みらい
益尾さんは、長門湯本の再生事業に携わる以前どのような景観づくりをされてきましたか。
益尾さん
福島県の茅葺民家の集落や鹿児島県の武家屋敷群など、全国各地で失われつつある地域の町並みを維持再生する取り組みを推進してきました。
湯本みらい
災害によって被災した地域にも入られていたとお聞きしています。
益尾さん
中越地震被災地の山古志地域や紀伊半島大水害被災地の十津川村などです。被災者の方々が地域に相応しい住まいによって、自力で住宅を再建できるように支援する取り組みでした。

2017年、5回にわたって開催された地元の施工者さんたちとの意見交換、ワークショップ。毎回、数多くの地元大工さんや建築家の方々が集合し、意見を交わした。

湯本みらい
そうした取り組みのなか、景観づくりをする上で大切にされていることは何ですか。
益尾さん
地域の活性化につながる形で景観形成を図ることが重要だと思っています。その具体的な取り組みが5回にわたって行われた「長門湯本景観ガイドラインづくりのワークショップ」でした。地元住民に加えて、地元大工さんや建築家など、まちづくりを支える方たちと様々な意見交換をしました。
湯本みらい
修繕を希望される方と一緒に物件を見て回られたりなど、実践的で幅広い内容でした。
益尾さん
地元住まい手の参加に加え、地元作り手側も一緒にルールづくりをしていく手法は、珍しい取り組みです。

長門湯本の実際の物件を見学しながらの施工者ワークショップの模様。地元の施工者さんたちと一緒に、リアルな現場をとらえ、何ができるかを考えていく。

湯本みらい
景観をつくるにあたって住まい手と作り手、双方の協力関係は重要ですね。
益尾さん
以前は、その地域で受け継がれた技術で住宅や店舗づくりがされていたお陰で、地域ごとにその町並みや景観は保たれていました。
湯本みらい
すると地域内部で経済が回るという好循環が生まれるので、地域全体にとって良いことですね。
益尾さん
現在は、市街中心地の空洞化や人口減少などの理由でから、両者の関係性が途切れているような状況が多く見られます。修繕などメンテナンスも外部発注することになり、地元産業が本質的に衰退してしまう課題もあります。
湯本みらい
長門湯本に限らず、地方ではそのような状況が多く見られます。
益尾さん
住まい手と作り手の関係性をもう一度取り戻し、地元産業のデザインも含めて取り組みを進めていくことが重要だと思っています。この長門湯本再生の取り組みが全国の温泉街の賑わいづくりと景観づくりのモデルとなるように、多くの心ある方々とともに頑張っていきたいです。
アルセッド建築研究所主任 益尾孝祐さん 益雄

おとずれリバーフェスタでの笑顔の一枚。お隣は同じくデザイン会議メンバーの照明デザイナー長町志穂さん(LEM空間工房)。

デザイン会議メンバー益尾さん

益尾 孝祐さん

(アルセッド建築研究所 主任)

profile

1976年大阪府生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院理工学研究科修士課程修了。2002年よりアルセッド建築研究所に入所。現在に至る。一級建築士。地域のまちづくり支援から、まちをつくる建築、都市デザインまでの計画、設計に携わる。著書に『まちづくり市民事業』(学芸出版社・共著)、まちづくり教書(鹿島出版会・共著)、まちづくり図解(鹿島出版会・編著)など。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

※長門市の公式ホームページに移動します。

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第二弾は、首都大学東京教授、川原 晋さん。柔らかい笑顔で、周囲を和やかに包むような雰囲気を持つ川原さん。長門湯本の再生に向け「観光まちづくり」の分野から携わられています。そこから見えてくる長門湯本の魅力や、まちづくりの取り組み方などお聞きしてきました。

キーバーソン川原先生
湯本みらい
川原さんは、観光まちづくりというフィールドから長門湯本の再生に参画されています。そもそも「観光まちづくり」とは、どのような取り組みですか?
川原さん
私の場合、まず地域のためになるまちづくりにフォーカスします。そのために観光という手法を使い、その地域の目指す姿や課題を解決していきます。
湯本みらい
あくまで観光は手法なんですね!
川原さん
大事なのは、長門湯本の住民の方たちがより豊かな生活を送れることだと思っています。古くから続く萩焼の文化と技術、音信川や沈下橋など、それらの価値と資源を劣化させずに守る取り組みをしていきたいと思っています。
湯本みらい
観光地であっても住民の方や地域資源を第一に考える姿勢は、とても重要ですね。
川原さん
そうした姿勢を体現した「地域観光プランニングカレッジ」という取り組みも、この長門湯本にて行われました。私だけでなく他大学の先生方や学生を各地から招き、地元住民の方々にもご参加いただきました。

2017年9月に長門湯本温泉にて開催された「地域観光プランニングカレッジ」懇親会の模様。全国の大学から先生と生徒が集まり、街の未来を徹夜で考察!

湯本みらい
地元事業者の方々から「こんなに多くの若者がまちにいる光景は、久しぶりに見た気がするよ..!」そんな驚きと嬉しさが混じった反応が多く寄せられました。
川原さん
普段とは違ったつながりや視点の持ち主と交流を深めることで、長門湯本の再生を考える、新たなきっかけ作りになればと思っています。
湯本みらい
内外に開かれた場があることや、まちづくりを学んでいる学生が参加することで、今までになかった発想や取り組みなどが期待されますね。
川原さん
良い循環につながるのではと思います。外部のやり方だけが先行してしまうと単なるビジネスの場になりかねません。いかに地域と住民の生活を豊かにできるか、今までもこの点を大切にして活動してきました。

2017年8月に開催された大寧寺での「住民説明会」での川原さん。地域の方の声にできるだけ耳を傾ける姿勢が一貫しています。

湯本みらい
なるほど、それは川原さんの一貫した姿勢なんですね。そうしたスタイルを生み出す具体的なきっかけはありましたか。
川原さん
私が学生のとき、世間はちょうどバブル時代で。地域とは関係のない建物ばかりが目について違和感を感じていました。そんなとき、大学でまちづくりのプロジェクトに関わったのが始まりでした。
湯本みらい
どのような内容でしたか。
川原さん
住民主導でまちを守る、というテーマでした。そこでの活発な意見交換や模型を使ったワークショップを通じて、地元の方たちの声にこそヒントがあると気付かされ、私のまちづくりの出発点となりました。なので、今も変わらず私の軸足は「まちづくり屋」なんです。
デザイン会議:川原先生

毎月行われている長門湯本温泉観光まちづくり計画デザイン会議での様子。忙しい中、時には日帰りで東京から長門市に訪れ、様々な課題を議論する。

湯本みらい
初めて長門湯本を訪れたときの印象はどうでしたか?
川原さん
水辺のすぐそばを歩けることが非常に魅力的でした。水に触れて遊んだり、沈下橋を渡れることってあまりないですから。作陶家さんたちのいる三ノ瀬では、凛とした雰囲気がとても印象的でした。茶器に対する美意識が、集落の手入れや景観にも反映されていると感じたのを覚えています。
湯本みらい
長門湯本の再生計画についての印象はどうでしたか?
川原さん
そうですね~。他の温泉街でも見られる傾向ですが、まちの中にお店が少ないなという印象でしたので、早速課題を見つけたという感じでした。ただ、「cafe&pottery音」ができたことで地域内外から人が集まり、イベントも盛んに行われていますね。また、地元の萩焼作家さんの茶器を日常的に体感できる場が新設されたことも、地域にとって大きな資産になったと感じています。
湯本みらい
実際にまちづくりを進めるなかで、川原さん自身が様々なことを感じ取っているようですね。その中で印象に残っていることはなんですか?
川原さん
納涼盆踊りなど、地域のお祭りに活気があって非常に良かったです。そのパワーをまちづくりにも良い形で転用していけないかと考えています。また、住民の方たちと市の職員さんとの距離感が近く、双方が真摯に向き合っていると感じました。まちづくりを進めるうえで重要なことは、一人ひとりの想いを受け止めていくことだと思うんです。これからも互いに顔の見える良い関係性を築きながら、地域一体となって進めていける強みがあると感じています。

cafe&pottery音で行われた萩焼深川窯のワークショップでの一コマ。萩焼の文化にも興味深々とのことです。

湯本みらい
地域の人の役割や期待していることはなんですか?
川原さん
今や観光も形を変え、場の提供だけではお客さんに振り向いてもらえません。地域の人たちと様々な形での交流や、地域に根ざした生業の体験などが求められています。地域の方がプレーヤーとして活躍できる時代でもあるので、そういった形で主体的に参加してくれたら、まちづくりの仲間が増えるので非常に嬉しく思います。
湯本みらい
何より嬉しいことですね!仲間や同志が増えると、まちづくりの推進力も上向きになり良い相乗効果が生まれてくると思います。
川原さん
地域観光プランニングカレッジのように、各地から人を招き長門湯本を体感してもらうことで「長門ファン」増加にも貢献したいと思っています。これ、後からじんわり効いてくるんです!また、長い歴史を誇る大寧寺さんや住吉神社さんなど、この地域にとって非常に重要な役割を果たしている存在だと感じています。今まで構築されてきた地域との関係性などを学びながら、今後の長門湯本の観光まちづくりに取り入れたいですね。
プロフィール画像_川原先生

川原 晋さん

(首都大学東京 観光科学域 教授)

profile

都市計画コンサルタント、建築設計の実務を経て現職。「観光まちづくり」の研究と実践に取り組む。鶴岡市 山王商店街まちづくり(市民の活動舞台としてのみち広場づくり、運営)、高尾山 観光地マネジメント(まちパーキング事業)、エリアマネジメント南山(開発住宅地のコミュニティ形成✕現代の里山再生)、おおたオープンファクトリー(産業観光まちづくり)などに関わる。都市の祝祭空間研究、地域観光プランニング方法研究などを進めている。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

首都大学東京 川原晋研究室 http://www.comp.tmu.ac.jp/ssm/index.html

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長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」9月号より、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第一弾は、有限会社ハートビートプラン代表、泉 英明さん。長身でがっしりした体格、飾らない笑顔が印象的な泉さん。8月に湯本温泉街にオープンし、新しい拠点になりつつある「cafe&potery音」にて、これまでのこと、これからのこと、お聞きしてきました。

湯本みらい
早速ですが、泉さんは、長門湯本温泉の再生に向けた取り組みを提案する「デザイン会議」の司令塔として着任されています。
泉さん
と言っても、僕のやり方は「ゲリラ活動」なんです。
湯本みらい
ゲリラ活動・・・?
泉さん
何か立派な提案書を書くよりも、行動で見せる。自ら動くことで、仲間を得て、地域の方々にも協力をいただけるような取り組みを生み出していこうと、活動しています。
湯本みらい
そのために、何度となく長門に足を運ばれているんですね!
泉さん
朝5時過ぎに起きて、6時の新幹線に乗って、新大阪から寝ながら来る。帰りは余裕をもって、と思うんですが、結局、最終の新幹線ギリギリまで話をしてしまいますね。
湯本みらい
もう住んだ方がいいですね(笑)
泉さん
住み込みというわけにはいかないんですが、どんどん長門に来られるように家を借りているんですよ。「ハートビート山荘」と呼んでいます。
月に一度開催中の長門湯本観光まちづくり計画 デザイン会議にて。会議は毎回6〜7時間に及ぶと言う。
湯本みらい
それはすごいですね。そんな泉さんのスタイルを生み出したこれまでの活動を少し教えていただけますか?
泉さん
大阪でも、長門湯本と同じく「水辺」に着目した「水都大阪」という取り組みをしてきました。ビルの「裏側」に追いやられていた川沿いの空間を、「北浜テラス」として水辺を楽しむ「表側」にし、色々な楽しみを生み出す場にしていく。そんなことが、現実にできてきているんです。
湯本みらい
本当に気持ちの良い水辺の空間が出来上がっていますよね。行政も巻き込んだ大きな動きになっていますが、立ち上げのころにはご苦労もあったのでは。
泉さん
最初は賛同してくれた人は本当に少しだけでした。でも、楽しみ方を共有していくことで一緒にやる人を増やしていく。みんながどうやったら楽しいか。少しずつ、こうなったら面白いという将来像を掲げて、実現し、実感していくことで、ご協力いただける人も出てきます。
9月〜10月にかけて開催されたおとずれリバーフェスタと社会実験の模様。
湯本みらい
初めて長門湯本を訪れたときの印象はどうでしたか。
泉さん
あ~~どうしよう、という感じですね、正直言って。空き地も広がっているし、なかなか人も歩いていない。でも、音信川はすごく良いなと思いました。人工的でなく、きちんと自然護岸を残す形で整備された河川空間は、なかなかない魅力です。
湯本みらい
夏休みも音信川で目撃情報があったようですが・・
泉さん
家族で長門を堪能させていただきました。仕事で来るときは、ほとんど自由時間なく、観光らしいことは何もできていなかったのですが、長門の海と湯本の川を、息子2人と満喫しました。音信川には魚やカニもいて、本当に豊かな川だと興奮してしまいました。
湯本みらい
湯本温泉の再生に向けた計画についても、第一印象を教えてください。
泉さん
これも、あ~~どうしよう、ですね。主体が存在しないマスタープランですから。これをもしもすべて、市や県が公共事業でやっていったら、それこそ成功はないんじゃないかと、実際非常に焦りました。
湯本みらい
そこから今、実際に取り組みを進めてきてどう感じていますか。
泉さん
大きな強みを発見しています。若い人が元気なこと、そしてそれを応援できる上の世代の方がいらっしゃることです。 実は温泉街に、リスクを負ってでもまちを変えていこうというメンバーがいたんですね。そんな人が、マスタープランを引き金にして表に出てきた。普通はいわゆる「偉い人」が出てきて物事を決めていくわけですが、今回は違っていて、そうしたメンバーがすでに動き出していることが非常に大きいと感じています。
社会実験の期間中は、地元の方々と一緒に走り回る泉さんの姿をよく見かけました。
湯本みらい
デザイン会議が立ち上がって以降、かなりのスピードで、物事が動いているように見えます。
泉さん
「じゃらんじゃらん」や「温泉祭り」、「納涼祭」、「南条踊り」などを、地域で続けてこられたことが非常に効いています。何かを相談したい、というときに、顔の見える関係ですぐに検討ができる、実はこういう地域力がこれまで培われてきたことがこのスピード感を支えてくれていると思います。
湯本みらい
社会実験も進んでいますね。
泉さん
社会実験は、どんな街を目指すのかを実感しながら検証する場です。イベントに終わってはいけません。目指す将来像を共有し、課題も一緒に考えながら、地域の方の納得を得ながら進んでいく。それが、まちを変えていくための近道ですし、また、そうした取り組みで、関わった人が元気になるプロジェクトにしていきたいですね。
社会実験の終了時には、地元の方々に混じって撤去作業にも参加。
湯本みらい
地域の人の役割、地域の人に期待したいことはなんですか?
泉さん
誰かがやってくれる、ではなく、「自分ごと」と認識してまちづくりに参加してほしいです。恩湯・礼湯についても色々な議論を重ねてきましたが、みなさんが大切されているお風呂を、誰かがやればよい、行政がなんとかすべきだ、ではなく、自分たちで誇りをもって、本当に大切なものをどうしたら未来につないでいくことができるかを、主体的に考えて、あり方を決めていく必要があります。 また、未来志向であってほしいと思います。内外関係なく、チャレンジする人をぜひ応援してほしい。なかなかリスクを負ってチャレンジする人は出てきません。だからこそ、出てきたら全力で応援してほしい。
湯本みらい
今私たちが話をしている「音カフェ」も大きなチャレンジですね。
泉さん
これからの湯本を語るいい場所ができました。まちのみなさんにも、「新しい湯本」を暮らしの中に取り入れ、コーヒーを飲む時間、萩焼の魅力を存分に楽しんでほしいですね。

泉 英明さん

(有限会社ハートビートプラン代表取締役)

profile

都市計画プランニング、震災復興事業、中心市街地再生事業など10年の修行を経てハートビートプラン設立。高松、下関、豊田、大阪なんば、岡崎のまちなか再生や公共空間のプレイスメイキング、モノづくりのまち高井田住工共生まちづくり、着地型観光事業「OSAKA旅めがね」、水辺公共空間のリノベーション「北浜テラス」、水辺の新たな価値を創造する「水都大阪」などに関わる。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

ハートビートプラン  http://hbplan.jp/

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