2019年3月31日(日)、地元に長年親しまれてきた礼湯がいよいよ最終日を迎えました。「礼湯」は温泉湧出の原点である「恩湯(2019年秋に再建予定)」から少し坂を上がったところにあり、休憩所が完備されたバリアフリーの共同浴場として、広く地域の人々に愛されてきました。
恩湯と比較するとコンパクトながらも、明るい雰囲気が人気だったこの温泉施設。礼湯に愛着を持つ人も多く、営業最終日は別れを惜しむように、地元の方々が入浴に訪れていました。
時計の針が午後11時をまわり、礼湯の営業は終了となりました。お客さんのいなくなった礼湯に集まったのは、地元有志のみなさん。昔から今日まで大切に使われてきた公衆浴場に、最後の恩返しと、大掃除を企画したのです。
日曜日の深夜にも関わらず、集まった人たちは総勢15名以上。子供の頃からこの共同浴場に慣れ親しんできた地元民の一人である、長門湯本オソト活用協議会の伊藤就一さん。ズボンの裾をしっかりと捲り上げて、浴場の細かい汚れを落としていきます。
長年親子で恩湯・礼湯を愛し続けた赤川さんも、最後のお礼と掃除に熱が入ります。湯本まちづくり協議会会長である荒川さんと奥様も参加され、一生懸命ブラシをかけておられました。
時間を忘れて作業をしていると、気がつけば0時を回っていました。多くの人を温めてきたこの礼湯を労うかのように、一つ一つ丁寧に、熱心に掃除をするみなさんの姿が印象的でした。
こうして、長年に渡る長門湯本の市営公衆浴場の歴史は一旦幕を閉じました。今後は地元有志が結成した長門湯守株式会社による「恩湯」の再建に注目が集まっています。新しく生まれ変わっていく長門湯本のまちづくりに、より期待が高まりそうです。