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長門湯本report:まちづくり現地レポート2019年12月編

冬の訪れはいつもそっと。少し寂しげなくすんだ色の空と、川と、空気が、隔たりをなくしてひとつに繋がったような、そんな不思議な気配がしたら、長門湯本温泉街の冬の始まりです。
秋の深まりとともに、赤く燃ゆるように色づいていった紅葉たちも見頃を終えました。

そっと移り変わった季節のすぐそばでは、とんかちとんかちと賑やかな音を立てて温泉街の工事が続き、まちの新名所がいくつも、春を待ちきれずにニョキニョキと顔を出し始めています。

こちらは、2020年3月にリニューアルオープン予定の公衆浴場「恩湯」と、新たに開業する飲食棟「恩湯食」。三ヶ月前にはまだ土台ができたところだったまちのシンボルは、外観が完成しつつあり、中の様子も伺い知ることができます。

ガラス張りの休憩室、奥に浴室、飲食棟のキッチンや客席。イメージが膨らんで、わくわくしてきます。

二つの建物を繋ぐ雁木広場もきれいに整いました。暮らしの中や、旅の途中で立ち寄った人たちが、それぞれの時間を過ごしたり、時に交わったり。ゆったりとできて、でもなんだかお隣さんと近しい気持ちになれる場所。

目の前では、飛び石の設置作業の真っ最中。川の水の流れを一部止めて、留まった水を抜いて、ひとつずつ石を設置していく地道で、大掛かりな作業です。そうしてここに飛び石ができれば、広場をさらに和やかな空間にしてくれること、間違いなしです。
3月開業予定の星野リゾート“界 長門”。御茶屋屋敷をイメージして、現代のデザインを融合させた造りが特徴の建物は、落ち着いた、まちに溶け込む素敵な佇まい。建物を囲む石垣や“桜並木のみち”も整備され、内装作業もいよいよ最終段階の様子です。
界 長門の前を流れる音信川には、田植えを思わせるこんな目印があって、なんだろう?とシラサギも遊びに来てくれます。ここは川床の設置が準備されている場所。 髪をそよがせる風と、穏やかな川のせせらぎに挟まれて、自然と心と体が緩んでいく川床の上では、長門湯本温泉街らしい特別な体験が、きっと待っています。
こちらは国道沿いにできる駐車場。かっこいい看板がついて、凛々しく、わかりやすい入口になりました。1月の完成まであと少しです。

駐車場から温泉街へと続く“竹林の階段”もいよいよ階段が姿を現し、3月の完成を目指して作業が進められています。階段を囲むように竹林が整備されていけば、風情あるまちの玄関となり、訪れた人を魅了する素敵な道が、温泉街の中央広場まで続きます。

さて、ここはどこでしょう?温泉街にあった公衆トイレです。外壁がおしゃれになって、利用しやすくなり、まちへの親しみが増す大事な要素になりました。

温泉街の空き家のリノベーション第一号である“cafe & pottery 音”の並びの空き家でもなにやらDIYでの地道な作業が続いています。ここは、恩湯や飲食棟を運営する「長門湯守」さんの事務所。白い壁が印象的なおしゃれなオフィスに様変わりしました。
そして、かつてはまちかど資料館と住居の複合施設だった、入り組んだ迷路のような空き家には、ついにシェアハウス「みかん荘」が完成。改めてBefore Afterをご紹介したい、驚きの空間活用術は必見です。すでに入居も始まり、これから新たな展開も予定されている建物からは、まちに響くような息づかいが聞こえてきそうです。

来春からは、より多くの人で賑わうことが期待される長門湯本温泉街。湯本大橋も改修工事が行われ、準備は着々と進んでいます。
温泉街の大掛かりなリノベーションの最終過程が見られるチャンスは今だけです。変わりゆくものと変わらないものがひとつになって、新しいまちができていく様子を心に記すため、この冬も長門湯本温泉街に足を運んでみてはいかがでしょうか。