この会議は、市が湯本温泉街の再生を目的に策定した「長門湯本観光まちづくり計画」に関し、下部組織である長門湯本温泉観光まちづくりデザイン会議から提案される内容について、様々な観点から意見を述べ、審議する大切な意思決定機関です。
市民の皆さんとの幅広い情報共有を目的に、公開形式で行われるこの会議には、出席委員や関係者の他に多数の報道機関の方々も来られ、注目の高さが伺えました。
委員長あいさつ
報告・審議事項
(1)恩湯等施設整備・運営事業の事業者公募について(報告)
(2)長門湯本みらいプロジェクト社会実験の実施報告と今後の取組
① 実施概要及び検証結果
〜泉デザイン会議委員 報告抜粋〜
1. 社会実験の概要について:目的と実施スケジュール
2. 社会実験の検証項目と実施内容
①河川活用促進のための川床・置き座の設置・運営の検証
②人中心の道路空間活用と交通機能再編に伴う影響の検証
③官民連携した照明計画による温泉地景観の向上の検証
④空間活用と事業性の検証
3. 調査項目
4. 調査結果概要
①来場者アンケート:20代〜40代が多く来場し、9割以上がリバーフェスタの取り組みを「とても良い・良い」と評価
②地元アンケート:道路上の店舗・休憩スペースは62%が評価。歩行者安全通行は一方通行を評価、車の安全通行は一方通行と対面通行はほぼ同等の評価
③宿泊者アンケート:宿泊者の6割がリバーフェスタに来場、時間帯はチェックイン〜夕食前が6割
④出店者アンケート:出店に満足したのは22店舗中21店舗。次回のイベントへの参加意欲も22店舗中、20店舗。イベントの雰囲気や趣旨を評価。
⑤交通量調査:一方通行時には、大谷山荘側から郵便局側に向けて目的を持たない通過交通を3割ほど抑制する効果があった。
⑥パブリシティ(抜粋):毎日新聞(9/18)、KRYニュースライブ(9/19)、長門時事(9/22)、日本経済新聞(10/18)、BRUTUS(11/15号)
5. 検証と今後の方向性(案)
①河川活用促進のための川床の設置・運営の検証(抜粋)
・非常に評価が高く、構造上の問題も生じてないため、常設化を目指した検討を進める。
・長期使用を前提とした素材検証やコストの明確化、活用策の試行等は引き続き検証を重ねる必要がある。
②人中心の道路空間活用と交通機能再編に伴う影響の検証(抜粋)
・道路空間活用については、地元を含め一定の評価を得ており、実現に向けた検討を進める。この際、美装化とともに、交通計画や設置物の外観や快適な空間づくりに向けた地域との連携を検討。
・現状では、一方通行か相互通行かは決定せず、継続して社会実験を行う。
・イベント時における大寧寺駐車場の活用や二次交通の活用、駐車場の新設における回遊導線の検討が必要。
③官民連携した照明計画による温泉地景観の向上の検証(抜粋)
・夜間の情緒作りや事業環境向上に効果があり、公民での照明やイベント等に対応可能な電源の配置を進める
・来場者の満足度の向上と景観に資する検証結果が得られたため、照明計画の検討が必要。
・インフラ整備と併せて電源供給設備についての整備検討が必要。
④空間活用と事業性の検証(抜粋)
・クオリティコントロールを継続するとともに、旅館や地域の協力体制の構築も継続していく必要がある。
※上記は公開資料の抜粋です。公開資料はコチラより一括ダウンロードが可能です。
〜荒川委員 報告抜粋〜
「湯本、門前、三ノ瀬地区の全戸アンケート調査を実施し、11月18日、20日の二日間、調査結果の説明と意見交換会を行った。主な意見は次の通り。
・道路上にベンチやテーブルなどを設置したが、こうした休憩施設は良かったという意見が多く、意見交換でも異論は無かった。
・歩行者と車両との境界に使用した植栽のプランターは、観光客を迎えるおもてなしになったことや路上駐車が減り温泉街の景観が良くなった。しかし、植栽の維持管理は担い手がいないので運営面での課題がある。
・恩湯周辺でイベントを実施する際、温泉街の両端にトイレがあり少し離れていることから、場所の説明や誘導に課題がある。 このため、イベントの際は旅館など民間のトイレの一般開放や 仮設トイレを設置するなど対応策の検討を求める意見がある。
なお、今回は湯本まちづくり協議会の若手を中心としたみらい検討部会で行ったが、地域との関係作りが徐々に深まり、説明会においても建設的な意見が多く見られ、今までとは違った雰囲気で、まちづくりの基盤が非常に良い方向に進んでいると実感している。」
② 河川及び道路の活用に向けた組織とスケジュール
※上記は公開資料の抜粋です。公開資料はコチラより一括ダウンロードが可能です。
〜小玉委員 発言要旨〜
「川床の設置は県内初の試みであり、提案から短期間で実現したことは、関係者の尽力によるものと考えている。期間中はたくさんの若い方が訪れており、大変良い評価だったと聞いている。今後の利活用については、今回の社会実験の結果を踏まえ、川床の本格運用に向けて、泉委員の提案された河川準則特区を活用した運営組織やスケジュールのイメージで、県としても長門市や地元の皆さんと調整をしていきたいと考えている。」
〜早川課長 発言要旨〜
「道路の活用の課題と今後の進め方について。道路空間の活用が、そぞろ歩きのできる魅力的な温泉街の実現に向けて有効であることが、今回の社会実験を通じて確認された。制度上も、昨年度より道路協力団体制度ができるなど規制が緩和され、道路空間を活用した収益活動、地域の実情に応じた道路管理の充実を図る事が可能となってきている。今後はこうした制度の活用を含め、充実した道路管理と道路の利活用を地域と一体なって進めていきたい。」・通過交通(国道316号から俵山への抜け道として利用)の利用状況
・河川・道路空間活用の組織運営とクオリティコントロール
についての質問があり、複数の委員より回答が述べられました。
〜通過交通の状況について〜
大西委員長:「この点については、様々な地元の方々の意見も聞きながら、継続して審議していくことが重要。」
〜河川・道路空間活用について〜
泉デザイン会議委員:「組織のイメージについては、参加する事業者を含めて民間が責任を持って、キチンとしたデザインや運用ルールを決めることが大切。今後、約半年間をかけて協議していきたい。」
(3)公共空間設計及び景観ガイドラインの検討状況
① 公共空間設計の進捗状況(報告)
〜金光デザイン会議委員 報告抜粋〜
・駐車場ゲート周り:国道との接続部分で交差点協議を進めており、協議では駐車場進入路幅員減少、横断歩道、停止線位置、隅切りの変更で設計を進めている。
・竹林の階段・竹林の路:前回の推進会議で説明したとおりの形で設計が進んでいる。
・棚田スロープ(南スロープ):デザイン会議での議論を踏まえ、構造物が表に出ないような形で、地形がすっきりと見えるように計画を修正している。
・眺望テラス:長門湯本のまちが一望できるような場所を設置している。前回の推進会議で説明したとおりの形で設計が進んでいる。
・紅葉の階段:設計が終わっている段階。竣工時は模型のようにボリュームのある紅葉にならないが、徐々に成長させていく。
・曙橋の改修:耐震の関係で改修の検討をしている。その際にまちの景観になじむような高欄や舗装材の検討を進めている。
・サイン計画:現状、長門湯本には多数の既存サインがあるが、比較的新しいものが多いので、コスト面からも全てを新しくすることは考えにくい。基本的には既存のサインは現状維持で、情報更新が必要なものや老朽化したものについては、新しいサインが必要かと思う。デザインはシンプルでニュートラルな方向。色彩は、日本の伝統色のなかで湯本地区に関連する色を選ぶように、デザイン会議で検討中。
② 大型建築に関する基本的考え方(協議)
〜益尾デザイン会議委員 報告抜粋〜
大型建物(三階建以上)の建物は、長門湯本全体の6%だが、イメージとしては相当大型であるので、ガイドライン上は非常に重要であると考えている。現在協議中の概略は以下の通り。
基本的な考え方とシーン景観
①安心して歩いて楽しめる温泉街を実現する
②川への眺望と川沿いの温泉街の風情を大切にする
③温泉街の風情を感じるもてなしを演出する
④温泉街の風情を感じる夜間景観を実現する
大型建築についてのルール
公共空間との関係
・公共空間と一緒にまちづくりや景観形成を推進する
・車のアクセス、駐車場の配置は地区の交通計画に配慮する
道から建物までの中間領域の設え
・駐車場のデザイン
・敷地境界のデザイン
通りから見える建物の設え
・開口部の意匠
・建物の意匠・色彩
・建物規模
通りから見える要素の設え
・設備機器
・サイン
・夜間景観
上記のルールについては、事前に旅館組合の方々や星野リゾートとも事前にヒアリングをさせていただき、概ね了解をいただいている。
③ 長門湯本温泉景観形成の実現の方法とスケジュール(協議)
〜益尾デザイン会議委員 報告抜粋〜
※上記は公開資料の抜粋です。公開資料はコチラより一括ダウンロードが可能です。
〜星野リゾート 石井代理 発言要旨〜
マスタープランの発表段階から、景観ガイドラインを作ることは、必要かつ重要と考えている。その上で、まち歩きの観点から、足湯および雁木広場を、重点エリアの設定として景観ガイドラインに組み込んではどうか。
また、車からみえる周囲の景色の「長門湯本らしさ」も重要だと思うので、広域的なエリアについても、ガイドラインに含めてはどうか。長期的に見た時系列のガイドラインの公平性や、既存の建物の景観を進めていくことも重要。
〜伊藤委員(湯本温泉旅館協同組合) 発言要旨〜
今後大型の物件が出てくる場合には、湯本温泉の自然に囲まれた景観にそぐわないような高層ビルや色彩の建築物は避けていくべきと考えている。また、湯本温泉発祥の地である大寧寺をはじめ、湯本の歴史性を踏まえたまちづくりを進めていただきたい。
〜岩田委員(大寧寺 代表役員) 発言要旨〜
湯本温泉の歴史的なイメージを見てみると、「川・水の流れ」を中心とした安らぎの場であるから、その部分を大切にしていかないと「湯本温泉らしさ」は半減してしまう。現在の「川」を重視した計画は高く評価するが、さらに音信川だけでなく、湯本温泉全体の美しい「小さな川やせせらぎ」を大事にするまちづくりを、ぜひ進めてほしい。
(4)民間投資促進に向けた取り組み状況(報告)
〜矢儀氏 報告抜粋〜
※上記は公開資料の抜粋です。公開資料はコチラより一括ダウンロードが可能です。
(5)平成30年度に向けた主要課題の検討(協議)
〜平成30年度の主要課題(案)〜
(A)恩湯等整備事業及び関連事業の企画・設計 【コア事業者】
①事業者の検討についてのサポート (設計支援、広場運営に向けた社会実験 等) 【デザイン会議】
②事業モニタリングの仕組み作り 【長門市】
③駐車場の運営方法検討 【デザイン会議・コア事業者】
④地域連携事業の具体化 【コア事業者・実施主体】
(B)公共空間整備の着実な実施 【長門市・山口県】
①設計監修及び現場意匠監理 【デザイン会議】
②将来を見据えた交通計画とハード整備への反映 【デザイン会議】
③美観の維持や維持管理の仕組み作り 【デザイン会議・実施主体】
(C)河川及び道路の活用 【事業者(中間組織含む)】
①制度枠組みの構築 【デザイン会議・長門市・山口県】
②社会実験による検証 (→事業化)【まちづくり協議会(→事業主体)】
(D)魅力的な事業の引き込み
①民間投資促進の仕組み構築・運用 【デザイン会議】
②「文化体験」事業の継続検討 【デザイン会議】
③持続的な物件改修プラン構築に向けた取組 【デザイン会議(施工者WS)】
④基礎的な事業環境データ収集 【デザイン会議・旅館組合】
⑤需要の平準化に資する企画 【デザイン会議・旅館組合】
(E)景観形成に向けた取組【各不動産所有者】
①景観ガイドラインの条例・計画への位置づけ検討 【長門市・デザイン会議】
②景観ガイドラインの運用(個別レビュー含む) 【デザイン会議】
(F)情報発信等
①プロジェクト情報発信、他都市との交流 【まちづくり協議会・デザイン会議】
②観光情報発信 【デザイン会議・コンベンション協会・旅館組合】
③プロジェクト全体のモニタリング検討 【デザイン会議】
〜大西市長 発言要旨〜
来年度の主要課題については、追加・検討などの意見があれば、後日でも事務局へ申し出ていただきたい。
最後にまとめとして、
・社会実験をふまえた今後の取り組み、特に河川・道路の活用に関しては、進め方について合意を得られたと考えるので、実現に向けた取り組みをお願いしたい。
・景観ガイドラインについても、大型建築を含め、基本部分は合意できたものと思う。維持管理も含めて、関係者が一体となった取り組みが良質な景観を醸成することにつながるので、ガイドラインさらにはより実効力の枠組みについても、引き続きの議論をお願いしたい。
・平成30年度にむけた課題については、観光コンベンション協会や旅館組合、まちづくり協議会等でも、積極的な取り組みをお願いしたい。
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