長門湯本みらいプロジェクト

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長門湯本report:広報ながと連動企画・まちづくりのキーパーソン紹介 vol.03「 デザイン会議メンバー アルセッド建築研究所主任 益尾 孝祐さん」

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第三弾は、株式会社アルセッド建築研究所の益尾 孝佑さん。ユーモアを交えた語り口と豪快な笑顔で、地元の方ともすぐに打ち解けていく益尾さんに、長門湯本において行われている先進的な景観づくりの進め方、時代とともに変遷する景観づくりの手法などをお聞きしてきました

会場は渋谷駅前のストリームホール。旧東横線渋⾕駅のホームおよび線路跡地等を再開発した新しいランドマークです。

湯本みらい
まずは、長門湯本温泉の第一印象をお聞かせください。
益尾さん
音信川の圧倒的な魅力と大寧寺の歴史、深川萩の里の魅力に感動しました。もちろん、温泉も最高ですね!
湯本みらい
益尾さんは、長門湯本再生に向けた取り組みの中で、景観づくりのご担当をされていますね。
益尾さん
新しく、面白い挑戦をさせてもらっていると思います。
湯本みらい
そのように感じ取った取り組みは何でしたか。
益尾さん
「景観ガイドラインづくり」ですね。一般的なものとは違い、新しい要素が盛り込まれています。

毎月開催される長門湯本温泉観光まちづくり計画デザイン会議の様子。景観ガイドラインの策定はまちづくりの重要な項目とあって、真剣な議論が長時間に及ぶ。

湯本みらい
特にどのあたりが新しいのでしょうか。
益尾さん
長門湯本の景観ガイドラインでは、建物だけに特化せず、その地域で営まれる人々の生活や活動までを含めた「シーン景観」を生み出すことが重要なテーマとなっています。
湯本みらい
シーン景観..?あまり聞き慣れない言葉ですね。
益尾さん
生活景とも言います。例えば川床で一休みしたり、夜景とともに飲食を楽しんでいる人々の活動の様子も、景観の一部として捉える。これが当ガイドラインの特徴です。
湯本みらい
このコンセプトが具現化されたイベントが、昨年の夏に行われた「おとずれリバーフェスタ」という社会実験でしたね。
益尾さん
そうです。社会実験と連動しながら、温泉地としての生活景と町並みの維持再生の相互的な取り組みは、司令塔の泉さんをはじめとするデザイン会議のメンバーだからこそ実現できたと思います。

2017年9月〜10月には、景観ガイドラインの特徴の一つである生活景の実証実験で川床の活用が行われ、多くの人々で賑わった。

湯本みらい
益尾さんは、長門湯本の再生事業に携わる以前どのような景観づくりをされてきましたか。
益尾さん
福島県の茅葺民家の集落や鹿児島県の武家屋敷群など、全国各地で失われつつある地域の町並みを維持再生する取り組みを推進してきました。
湯本みらい
災害によって被災した地域にも入られていたとお聞きしています。
益尾さん
中越地震被災地の山古志地域や紀伊半島大水害被災地の十津川村などです。被災者の方々が地域に相応しい住まいによって、自力で住宅を再建できるように支援する取り組みでした。

2017年、5回にわたって開催された地元の施工者さんたちとの意見交換、ワークショップ。毎回、数多くの地元大工さんや建築家の方々が集合し、意見を交わした。

湯本みらい
そうした取り組みのなか、景観づくりをする上で大切にされていることは何ですか。
益尾さん
地域の活性化につながる形で景観形成を図ることが重要だと思っています。その具体的な取り組みが5回にわたって行われた「長門湯本景観ガイドラインづくりのワークショップ」でした。地元住民に加えて、地元大工さんや建築家など、まちづくりを支える方たちと様々な意見交換をしました。
湯本みらい
修繕を希望される方と一緒に物件を見て回られたりなど、実践的で幅広い内容でした。
益尾さん
地元住まい手の参加に加え、地元作り手側も一緒にルールづくりをしていく手法は、珍しい取り組みです。

長門湯本の実際の物件を見学しながらの施工者ワークショップの模様。地元の施工者さんたちと一緒に、リアルな現場をとらえ、何ができるかを考えていく。

湯本みらい
景観をつくるにあたって住まい手と作り手、双方の協力関係は重要ですね。
益尾さん
以前は、その地域で受け継がれた技術で住宅や店舗づくりがされていたお陰で、地域ごとにその町並みや景観は保たれていました。
湯本みらい
すると地域内部で経済が回るという好循環が生まれるので、地域全体にとって良いことですね。
益尾さん
現在は、市街中心地の空洞化や人口減少などの理由でから、両者の関係性が途切れているような状況が多く見られます。修繕などメンテナンスも外部発注することになり、地元産業が本質的に衰退してしまう課題もあります。
湯本みらい
長門湯本に限らず、地方ではそのような状況が多く見られます。
益尾さん
住まい手と作り手の関係性をもう一度取り戻し、地元産業のデザインも含めて取り組みを進めていくことが重要だと思っています。この長門湯本再生の取り組みが全国の温泉街の賑わいづくりと景観づくりのモデルとなるように、多くの心ある方々とともに頑張っていきたいです。
アルセッド建築研究所主任 益尾孝祐さん 益雄

おとずれリバーフェスタでの笑顔の一枚。お隣は同じくデザイン会議メンバーの照明デザイナー長町志穂さん(LEM空間工房)。

デザイン会議メンバー益尾さん

益尾 孝祐さん

(アルセッド建築研究所 主任)

profile

1976年大阪府生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院理工学研究科修士課程修了。2002年よりアルセッド建築研究所に入所。現在に至る。一級建築士。地域のまちづくり支援から、まちをつくる建築、都市デザインまでの計画、設計に携わる。著書に『まちづくり市民事業』(学芸出版社・共著)、まちづくり教書(鹿島出版会・共著)、まちづくり図解(鹿島出版会・編著)など。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

※長門市の公式ホームページに移動します。