冬の訪れはいつもそっと。少し寂しげなくすんだ色の空と、川と、空気が、隔たりをなくしてひとつに繋がったような、そんな不思議な気配がしたら、長門湯本温泉街の冬の始まりです。
秋の深まりとともに、赤く燃ゆるように色づいていった紅葉たちも見頃を終えました。
そっと移り変わった季節のすぐそばでは、とんかちとんかちと賑やかな音を立てて温泉街の工事が続き、まちの新名所がいくつも、春を待ちきれずにニョキニョキと顔を出し始めています。
こちらは、2020年3月にリニューアルオープン予定の公衆浴場「恩湯」と、新たに開業する飲食棟「恩湯食」。三ヶ月前にはまだ土台ができたところだったまちのシンボルは、外観が完成しつつあり、中の様子も伺い知ることができます。
ガラス張りの休憩室、奥に浴室、飲食棟のキッチンや客席。イメージが膨らんで、わくわくしてきます。
二つの建物を繋ぐ雁木広場もきれいに整いました。暮らしの中や、旅の途中で立ち寄った人たちが、それぞれの時間を過ごしたり、時に交わったり。ゆったりとできて、でもなんだかお隣さんと近しい気持ちになれる場所。
駐車場から温泉街へと続く“竹林の階段”もいよいよ階段が姿を現し、3月の完成を目指して作業が進められています。階段を囲むように竹林が整備されていけば、風情あるまちの玄関となり、訪れた人を魅了する素敵な道が、温泉街の中央広場まで続きます。
さて、ここはどこでしょう?温泉街にあった公衆トイレです。外壁がおしゃれになって、利用しやすくなり、まちへの親しみが増す大事な要素になりました。
来春からは、より多くの人で賑わうことが期待される長門湯本温泉街。湯本大橋も改修工事が行われ、準備は着々と進んでいます。
温泉街の大掛かりなリノベーションの最終過程が見られるチャンスは今だけです。変わりゆくものと変わらないものがひとつになって、新しいまちができていく様子を心に記すため、この冬も長門湯本温泉街に足を運んでみてはいかがでしょうか。