長門湯本みらいプロジェクト

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長門湯本report:広報ながと連動企画・まちづくりのキーパーソン紹介 vol.04「 デザイン会議メンバー 長町志穂さん(LEM空間工房)」

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第四弾は、株式会社LEM空間工房代表、長町志穂さん。照明デザイナーである長町さんは、その明るさ、笑顔で、周りを元気にしてくれる、まるで“あかり”のような方。そんな長町さんに、あかりの持つ魅力や長門湯本の魅力、ご自身の想いなど、たっぷりお聞きしてきました!

長門湯本温泉デザイン会議メンバー長町さん

会場は渋谷駅前のストリームホール。旧東横線渋⾕駅のホームおよび線路跡地等を再開発した新しいランドマークです。

湯本みらい
長町さんは「夜間景観」のご担当で長門湯本に関わられています。長町さんと言えば、スタッフのみなさんと一緒に照明機材担いで、トランシーバー片手に「右!ちょっと左向けて!」と現場できっちり作りこむ姿がとても印象に残っています。デザイナーってそこまでやるんだ、と。
長町さん
楽しいでしょ。照明って、見る人の気分を変えてくれますよね。そこを使う人や住んでいる人の気持ちが、自然とポジティブになるという大きな効果がある。元気が出たり、嬉しくなったり、ついつい告白しちゃったり、それが夜景の特徴であり、力ですよね。
湯本みらい
サンクス恩湯やリバーフェスタでは、まちの雰囲気がガラッと変わったことをたくさんの人が実感しました。
長町さん
照明でまちの雰囲気がまったく変わるっていうのは本当に事実です。あかりが灯るとみなさん幸せな気持ちになってくれるので、そういう意味ではとても得な仕事をさせてもらっていると思っています。 でも、あかりのイベントさえやればものすごく人がやってきて、劇的にその街が観光地に変身するみたいなイメージを持つ方もいらっしゃるんですけど、それは絶対にないです。一度に、いろんなことを同時に考えないとダメ。

毎月開催される長門湯本温泉観光まちづくり計画デザイン会議での長町さん。大阪や神戸をはじめとするライティングプロジェクトで全国を飛び回りながらも、デザイン会議には欠かさず出席してくれる。

湯本みらい
長門湯本では、単にまちをきれいに整備しましょう、ということでなく、川や空き地、空き家、道路、いろんな場所でいろんなチャレンジが進んでいます。
長町さん
例えばお茶が飲めなかったら、いくらきれいな公園でも、誰もそこにはついていないような。そういう仕掛けができる人とまちの動きが、同時に存在している今の長門はすごいと思います。
湯本みらい
実はもともと、最初の計画には、照明はあまり入ってなかったんですよ。
長町さん
マスタープランに夜間景観が入ってないのは、これはごく普通のことなんですよ。残念ながら照明そのものが例えば建築計画とか、都市計画とかランドスケープの「付帯物」っていう時代が長かったんですよね。でも、滞在型観光の温泉街で、夜間景観はとても大事。照明の重要性に気づき始めているまちでは、短期間で結果にも結びつきやすいこともあって、どんどん取り組みが始まっています。

2017年9月〜10月に開催された社会実験では、長町さんの主導で、橋、川床、樹木、提灯などの夜間照明の改善が行われ、多くの人が幻想的な雰囲気を楽しみました。

リバーフェスタのなかでも一際目を引いた「橋の上レストラン」でも、長町さんのライティングは大きな役割を果たしました。

湯本みらい
長門湯本も頑張らないといけないですね。
長町さん
長門湯本はとても珍しいケースなんです。通常は、いろいろやって、さらに何をどうしたらいいかが分からない、でもなんとかしたいというところで、照明やりましょうっていう話になることが多いんですが、長門湯本の場合は、これからまちを新しくしていこうという中で、最初から照明まで一緒に考えることができる。理想的な状態と言っても良いと思います。
湯本みらい
照明も一体になったマスタープランが、様々な分野の専門家の方々の力を借りて、少しずつ実現していくんですね!ワクワクします。
長町さん
大概の照明デザイナーは、大規模な商業施設などが出来たらそこで仕事するっていうのが、主な業務です。でも私の場合は、前からあったものにとても興味があるので、長門湯本の取り組みがそうであるように、前からあったまちの魅力を高めるということをすごく大切にしていて、そういうことをたくさんやりたいと思っています。まだまだ珍しいですが、私たちのような取り組みは、その価値にまさに気付かれ始めているときで。そういうことも含めて、新しいタイミングで起きてるプロジェクトだなと感じています。

2017年〜2018年に渡って、繰り返し行われている地元説明会での様子。地域の住民たちとまちの未来を共有するために、丁寧な説明を繰り返し行います。

湯本みらい
魅力を高めるということで言うと、実は照明だけでなくて、リバーフェスタの時には、長町さんご自身が地域の八百屋さんの店頭に立って、商品の見せ方、値札を工夫したりと大活躍でしたね!八百屋さんがいつの間にかオシャレな「ベジポート」になっていました。
長町さん
麦わら帽子かぶってね。照明に限らず、クリエイティブなことを考えたり、アイディアを出すことで、人の役に立つことが自分の使命なんだと思っています。もちろん自分自身が楽しいし、うまく皆が喜んでくれたり、商売が繁盛したり。そう実は、一番気にしているのは、本当に経済的効果が出るかどうか、ということです。
湯本みらい
そのあたりはもともと企業にいらっしゃったことが大きそうですね。
長町さん
私はもともと松下電工っていうパナソニックにいて、照明器具のデザインをやっていたんです。企業人として長い間、企業で利益を出していくということをミッションとして、デザインだけでなく商品開発も販売戦略もやらなければならなかった。デザインで夢を見るばかりではダメで、経済的に成り立たせながら、それを成り立たせるためのデザインが最大の武器になる、そういうやり方です。
湯本みらい
商店の方はいつもと違う雰囲気での販売を「忙しかったし、楽しかった!」と喜んでくださいました。
長町さん
嬉しいですね!本質的にはデザインは人の役に立って初めて幸せなんだ、と思っています。社会性というか。島根県の邑南町というまちでは、「INAKAイルミ」という取り組みをまちの皆さんと進めたんですが、まちの方が大事にしてきた、自然に囲まれた絵本に出てくるような美しい田舎に、まちの方と一緒に実行委員会を作って、手作りでハンダ付けしたり照明カバーを作ったりしながら、“ここにしかないかけがえのないあかり”を作り出すことができました。そして、地元のおじいさんに、満面の笑みで、楽しいしきれいで嬉しい、と言っていただけたんです。

リバーフェスタの期間中には、荒川商店さんの店先がお洒落なベジポートに大変身!照明だけに限定しないアイデアと行動力で、みんなを魅了します。

湯本みらい
長町さんが、単に照明・デザインだけでなく、まちの魅力を引き出すことや社会性といった部分に関心を持つようになったのは、何かきっかけがあったんですか?
長町さん
出会いに恵まれたのだと思います。たまたま飲み友達が、所属している団体に誘ってくださって、ランドスケープ、都市デザイン、集合住宅、といった分野の方々10名くらいが、目線が本質的な人ばかりで。なぜだか一度にそうした方たちに出会う出来事がありまして。「私の作品をやりたい!」っていうデザイナーみたいな世界ではなく、皆の幸せのために何ができるかを考えようみたいな方たち。そうするとまちづくりっていうもの自体がすごく面白くて。
湯本みらい
そういう経験があるからこそ、「湯本提灯」のアイデアが出てくるんでしょうね。公共のあかりだけでなく、住民の方、事業者の方も一体になって夜の情緒を演出していこうという。
長町さん
まちのあかりって絶対民間と公共両方が力を発揮しないと出来上がらないって、それは実感として思っています。民間の人が「僕たちができることからまずやる」と本腰を入れてやりだすと、ビックリするぐらいの力を発揮できるんです。まちが本当に変わっていく。だから私は、まちの人が動けば何かが変わるっていうことを、口先ではなく心から信じています。だけど一朝一夕にはできないことも想像できるので、皆でちょっとずつやっていけたらなと思っています。
湯本みらい
提灯はたくさんの方に参加していただけて、今でもまちにあかりが灯っています。
長町さん
参加型、大事です。地域の人にちょっとの手間で、でもやってみようかみたいなシナリオを考えて、参加してもらって。長門湯本には、自分がやっているっていう想いはきっと根付いていると思います。私は盆踊りの映像を拝見して、みなさん習慣的に参加して楽しまれている姿があったので、ポテンシャルがあると思っています。みなさんに参加してもらえるネタ、まだまだ考えていきますよ!
湯本みらい
お~それは楽しみです!

おとずれリバーフェスタでのとっておきの一枚。お隣は同じくデザイン会議メンバーの益尾 孝祐さん(アルセッド建築研究所)。

長町 志穂さん

(株式会社LEM空間工房 代表)

profile

株式会社LEM空間工房 代表取締役。京都工芸繊維大学・工芸学部卒業。京都造形芸術大学客員教授、京都工芸繊維大学非常勤講師。
「御堂筋イルミネーションコンペ2009・最優秀」「堂島大橋ライトアッププロポーザル・最優秀」「照明普及賞優秀施設賞2007,2010,2012」 グッドデザイン賞104点(松下電工株式会社勤務時代)など受賞多数。ライフワークは「世界あかりの旅」。世界の集落の探訪と街あかりの撮影をしている。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

LEM空間工房  www.lem-design.com/

※長門市の公式ホームページに移動します。