長門湯本みらいプロジェクト

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長門湯本report:広報ながと連動企画・まちづくりのキーパーソン紹介 vol.06「 デザイン会議メンバー 木村 大吾さん(金剛住機)」

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第六弾は、金剛住機株式会社の木村 大吾さん。デザインや設計から、DIYの現場まで、軽やかなフットワークと笑顔で実現して行く木村さん。今回は、木村さん自身がまちづくりとの関わるまでの経緯や、リノベーションへの熱い想いなど、たっぷりとお聞きして来ました。

 

デザイン会議メンバー木村大吾さん

下関を拠点に、県内から福岡まで、幅広く「まちづくり」の輪を広げる木村さん。長門湯本でも大きな役割を果たしている。

湯本みらい
木村さんはこれまで、下関で数々のリノベーションを通してまちづくりに貢献されてきました。以前は東京で設計事務所にお勤めだったとおききしましたが、下関にUターンされたんですね。
木村さん
はい、ちょうど10年前です。山口で大学院を出たあと広島と東京で4年間、設計事務所で働き、地元に帰ってきました。僕自身はまだまだ東京で設計を勉強したいところだったんですが、父の建築会社の人材不足などもあり、さんざんすねをかじってきた親への孝行は今しかできないのかもしれない、と思って決断しました。
湯本みらい
若いのに、決心しましたね!
木村さん
実は、設計で食べていけるのかという不安もありました。夜中までずっと休みなく働いて、こんな暮らしでいいのかと。子供ができたら、自分の幼少期がそうだったように家族と過ごす時間を大切にしたいと思っていたので、スローライフを求めて帰ってきた、というのもあります。

設計からDIYの指導まで、木村さんが関わったcafe&pottery音。長門湯本の新しいまちづくりの象徴として大きく注目されている。

湯本みらい
ご実家は建設業ですよね?新しいものを立てるイメージがありますが、リノベーションやまちづくりに関わるようになったのはなぜですか?
木村さん
下関に戻ることになって、戻る前に北欧4ヵ国を回ってきてから戻ってきたんです。好きな建築家がいて、見に行きたくて。ヨーロッパでもそうですが、北欧では古い建物をうまく活用していて、それにガラス張りの建物を入れたりとか、古いものと新しいものがかっこよく調和しているのを見て、こういうことをやらないといけないな、と思いました。
湯本みらい
当時の下関の街並みはどうでしたか?
木村さん
戻るたびに良い建物がどんどん壊されて、なんだか知らない街になっていくような感じに、違和感を持っていました。時代の流れとしてリノベーションが流行りだしてもいましたし、小さい会社ですから、競合店との差別化を意識したのもありました。
デザイン会議メンバー木村大吾さん

cafe&pottery音での「解体DIY」の一コマ。木村さんの指導で「安全に、解体作業を楽しむ!」人たちが市内外から集まった。

湯本みらい
実際戻られて、リノベーションのオファーは順調にありましたか?
木村さん
いえいえ、帰ってきたばかりの、何者かもわからない僕にすぐに仕事なんてきません。 リノベーションがやりたいからと言って、すぐに建物や人が現れるわけでもないですから。 でも下関の現状を知っていく中で、知り合いの方が取り壊されることになっている築100年くらいの木造の廃校で、カフェをしたいと思っているのを知って。まずはリユースから始めてみることにしたんです。
湯本みらい
リユースというと?
木村さん
場所(廃校)を貸してもらって、そこでイベントやワークショップをやることで、少しずつ人が集まってきました。若い人たちが面白そうなことやっていたり、一方で80歳のおばあちゃんが何十年ぶりに来たって、思い出話に花が咲いたり。そうすると、地元の人たちが、そこを残したいと思ってくださるようになって。結果その建物は壊されずに、リノベーションされ、カフェをオープンすることができました。
湯本みらい
そのことが木村さんの今やられているリモノセキ(Remonoseki Projekut)という活動につながっているんですね?
木村さん
そうです。建築家やデザインの方などとチームを組んで、建築を通して下関をリユース、リデザイン、リノベーションしていこうという想いでリモノセキとつけました。僕らの最初の想いは、壊されることになるとしても、使われずに忘れ去られた末ではなくて、最後の最後まで使い続けて惜しまれながらなくなる方が、建物は幸せなんじゃないかな、というところから始まっています。

2017年に行われた長門湯本での施工者ワークショップの模様。地元の建築・施工業者さんと一緒に現地を見ながら、リノベーションのアイデアを共有した。

湯本みらい
廃校のリユースをきっかけに、10年間でたくさんのリノベーションを手掛けてこられました。
木村さん
ちょうどそのタイミングで、当時下関のタウンマネージャーをされていた泉さん(現在、長門湯本デザイン会議の司令塔)に出会ったんです。泉さんと市役所の方が下関で面白いことをしている人を探していて、僕らもまちに、飲食店やゲストハウスがあれば、と思い描いていたところだったので、まちづくりのソフトの部分を任せていただくようになって。
湯本みらい
下関のウズハウス、かっこいいですよね!ゲストハウス、本当に作ってしまいましたね。
木村さん
まちに勢いがあると、自然と関わっていく人が増えていって、ゲストハウスをやりたいという方との出会いがあって。これをしなきゃ、あれをしなきゃって目標を設定していたわけじゃなく、想いが繋がっていったんです。僕自身もこのウズハウスを長門市役所の方などが見に来てくれたのがきっかけで、長門湯本に関わらせていただくことになりましたし。
湯本みらい
出会い、大切ですね。長門湯本にも木村さんはもう、なくてはならない存在。長門に来られて、まちの人に会って、どんな印象でしたか?
木村さん
この人たちとだったら、本当素直に、面白いことできるよなって思いました。 みんなすごく仲がいいし。民間だけじゃなくて、市の方々たちがユニークっていうのもこのいい空気を作っていると思いました。

木村さんがデザイン、制作した折りたたみ屋台は、社会実験の終了後も、地元の方々に広く活用されている。

湯本みらい
長門湯本では、どんな分野を担当されているのでしょうか。
木村さん
施工者ワークショップのアドバイザーだったり、イベントではたくさんの屋台を作りました。長門湯本のリノベーション第一号である「cafe&pottery 音」では設計はもちろん、家の解体から皆さんと一緒になって汗を流しました。河川公園で皆さんにもてなしていただいたお弁当、最高においしかったです。
湯本みらい
解体にはたくさんの方が集まってくれましたよね。木村さんがおっしゃったように、人と人が繋がっていき、まちづくりに関わってくださる方が増えてきています。今年は、長門湯本でどんなことに関わっていきたいですか?
木村さん
リノベーションに関わっていきたいのはもちろんなんですが、設計や施工は地元の方々にお任せして、僕はDIYの部分にフォーカスして、県内の面白い人などをもっと巻き込んでいけたらいいなと思っています。
湯本みらい
関心や興味をもってくださる方が増えていくのは本当にありがたいことですね。
木村さん
リノベーションのいいところってそこだと思うんです。学生たちも、どんどん巻き込んでいきたいですね。地域に関わることで、建築だけでなくまちづくりに興味を持ってもらえたら、ゆくゆくは一緒に働けたり。高校生や中学生、幼い子どもたちもDIYに参加することで、まちに思い出が増える、まちとの関わりが増える、いい機会だと思います。
デザイン会議メンバー木村大吾さん

長門湯本温泉街観光まちづくり計画デザイン会議にて。施工者ワークショップから、イベント屋台のデザインまで、役割は多岐にわたる。

湯本みらい
自分のまちの、いいところがみつかるかもしれない?
木村さん
ほんと、そう思います。帰ってきたときに、関わった場所がある、会える大人がいるって大きいですよ。親や友達以外の、地域の人たちとの関わりがなかなかないですから。昔はかっこいいおにいちゃんやおっちゃんがいる店、とかあったんですけどね。
湯本みらい
なるほど。DIYしながら、子どもたちがまちに帰ってきやすい環境を作っていくってこともできるということですね!地域の方々に期待することはありますか?
木村さん
空き家や材料をもっと提供していただけたら、面白いことがたくさんできるなと思います。どのまちでもそうですが、リノベーションって、理解あるオーナーさんがいて初めてできるものです。みなさんでチャレンジしやすい環境を作っていただけると、まちは変わっていきます。
湯本みらい
材料というのは?
木村さん
壊される建物の廃材をいただく、というのもそうですが、そのままにしておくと腐ってしまう建物の床だけでも上げてしまって、風通しをよくすると建物にとってもいいし、その時には廃材をお譲りしますよ、なんていう登録制があってもいいかもしれません。
湯本みらい
資材センターがあったりしたらいいですね。
木村さん
おもしろいですね。老朽化した建物などが、次の命のために上手にクリエイディブリユースされていくことになるといいですよね。昔は古返しって言ってたんですよ。民家や母屋を納屋に転用して、納屋を小屋にして、最後には薪にする、というような日本に昔からある文化です。
デザイン会議メンバー木村大吾さん

3人のパパでもある木村さん。休日には、家族連れで長門湯本に遊びに来てくれることも、しばしば。

湯本みらい
古き良き伝統を受け継ぎつつ・・・まさに長門湯本温泉街のリノベーションで大切にしていることです。
木村さん
長門湯本に関わり、リバーフェスタや社会実験なども横で見せていただいて、すごく勉強になったし、これからの下関を考えるいいきっかけにもなっています。長門のみなさんの、このいい空気感を、今度は下関に持っていきたいですね。広がりを大切に、山口県全体を盛り上げていきたいです!
デザイン会議メンバー木村大吾さん

木村 大吾さん

(金剛住機株式会社)

profile

1977年下関出身。結婚までは長門市仙崎(父の故郷)が本籍。金剛住機株式会社 取締役。一級建築士。3人のパパ。

山口大学工学部感性デザイン工学科卒業、同大学院理工学科修士課程修了。()現代計画研究所に入社し、広島と東京で勤務。2007年、家業の金剛住機()にUターン入社し、主にリノベーションの設計・施工、まちづくりに携わる。

※長門市の公式ホームページに移動します。