長門湯本みらいプロジェクト

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長門湯本report:広報ながと連動企画・まちづくりのキーパーソン紹介 vol.05「 デザイン会議メンバー 片岸 将広さん(日本海コンサルタント)」

長門市では、市民に配布される広報誌「広報ながと」にて、「Join! 長門湯本観光まちづくり〜みんなの力で湯ノベーション〜」と題し、公民一体となった様々な長門湯本のまちづくりの現状と、それに携わる人々を紹介しています。
それに合わせ、長門湯本みらいプロジェクトでも、まちづくりのプロフェッショナルや、地域と文化を支えてきた地元の方々のインタビューを幅広く掲載し、みなさんに長門湯本の今を感じてもらいたいと思います。

まちづくりのキーパーソンをご紹介する第五弾は、株式会社日本海コンサルタントの片岸 将広さん。ディープに長門湯本地域にコミットしながらも旅人のように様々な愉しみを発掘している片岸さん。

今回はそんな片岸さんに、交通面から観光まちづくりへ参画された経緯やその手法、昨夏行われた社会実験「おとずれリバーフェスタ」での具体的な取り組みなどをお聞きしてきました。

長門湯本温泉デザイン会議メンバー片岸将広さん

毎月開催される長門湯本温泉観光まちづくり計画デザイン会議の様子。金沢を拠点に活動しながらも、会議には欠かさず出席する片岸さん。

湯本みらい
交通というフィールドから長門湯本温泉の観光まちづくり事業に参画されています。
片岸さん
元々は交通量調査が目的で、デザイン会議の司令塔である泉さんからお声がけいただいたんです。
湯本みらい
当初はエリアの交通がどう変わるか、という内容でしたね。
片岸さん
しかし交通量が少なかったので、まずは実態を把握しようということになったんです。
湯本みらい
長門湯本の住民の中にも調査をされていた方々がいらっしゃいました。そこに積み上げていく形になりますね。
片岸さん
はい、今回は13ヵ所にビデオカメラを設置し、車と人の流れを把握する目的で実施しました。

交通計画は住民の暮らしに直結する重要な課題とあって、議論は長時間かつ入念に行われる。

湯本みらい
加えて昨夏の社会実験「おとずれリバーフェスタ」でも調査されていましたね。
川岸さん
社会実験前と社会実験中の一方通行期間、対面通行の期間で計3回。端的に結果を言いますと、3割ぐらいが一方通行時には入って来ず、迂回して大寧寺方面に流れていく、といった感じでした。
湯本みらい
人の流れはどうでしたか?
川岸さん
一例として、どの方向から千代橋を渡り、どこへ向かう人が何人いたか、など細かく調査していきました。
湯本みらい
そもそも住民の方から合意を得て、実施にまで至るケースは全国的にも珍しいそうですが。
川岸さん
携わった中で長門湯本が初めて実現したケースです!合意形成の段階から反対されることが多くて。なので実験できること自体、とても凄いことです。

2017年9月〜10月に実施された社会実験での様子。車道の一部をワークショップブースとして活用し、多くの人が楽しんだ。

湯本みらい
片岸さんは、これまでに都市・地域計画や自転車交通計画などを担当されてきましたが、具体的にはどのような事業でしたか?
片岸さん
石川県金沢市で「サイガワあかりテラス」や「犀川リバーカフェ」の企画・開催の支援や「まちのり」というレンタルサイクルの企画・事業化にも携わってきました。
湯本みらい
その背景や実績から泉さんの目に留まったわけですね。それらの事業に関わることで何か変化はありましたか︖
片岸さん
実際に関わっていくなかで、良くも悪くも大きな変化がありました!それまでは計画をつくって終わることが多々ありましたが、実際に事業を運営する中でエンドユーザーの声を聞き、それらをまた次のプラン⼆ングに活かしていくということにやりがいや⾯⽩みを感じるようになりました。
湯本みらい
もう一方で悪い意味とは?
片岸さん
事業運営の現場は本当に⼤変ということがわかりました。今まで三人称的にこうした方がいいですよ、なんて言ってましたけど、現場はクレーム処理まで含めて本当に大変で。これまで無責任だったなって反省しましたね。

片岸さんが企画・事業化に携わった金沢市のレンタサイクル「まちのり」。市民生活や観光の利便性向上に大きく貢献している。

湯本みらい
片岸さんは「人」中心の道路空間をテーマに掲げておられます。具体的にはどういった内容でしょうか。
片岸さん
⼈とクルマが共存する「シェアドスペース」の実現です。「シェアドスペース」は、こっちが⾞道でこっちが歩道、と明確に区切らず、道路全体を歩⾏者優先とし、クルマの低速での通⾏を認めていくものです。道路空間上においてドライバーと歩行者が共存関係にあると、互いのアイコンタクトやコミュニケーションが高まっていく。歩⾞道境界を取っ払うことで、ここは車の空間だ!という意識がスピードとともに弱まり歩行者が歩きやすくなる、というオランダ発祥の考え方です。
湯本みらい
日本では一般的に浸透してないようですね。
片岸さん
まだ浸透率は低いかと。長門湯本では、道路や川が大きい面積を占めています。でもそこが自由に使えたり賑わっていると沿道にはない商業的なものが発生してきたり、新たな回遊性や経済効果などを生み出すきっかけに繋がると思うんです。

長門湯本で行われたリバーフェスタでの様子。人中心の道路空間が社会実験として実施され、様々なデータが収集された。

湯本みらい
道路空間の仕掛け。思ったより人々に与える影響が大きいんですね。
片岸さん
やはり路上駐車の列がずらりと並んでるよりも本来の姿に戻して皆で使える空間の方が、結果的に景観としての魅力はもちろん、エリア全体としての価値を高めることになると考えています。
湯本みらい
車窓からだけの景色より、車から降りてその地域から伝わってくる空気感や営み、人々の温度を感じ取れるような「まち歩き」をしたくなります。片岸さん自身も、その足で長門湯本を満喫されていますね!
片岸さん
もう温泉が好きで。恩湯には、ほぼ毎回行ってましたよ。他にも地元の方からたまげなすを貰ったり、焼き鳥や味噌カツちゃんぽんなど、大いに長門の食も楽しんでいます。
湯本みらい
長門湯本の魅力を発掘し続ける片岸さんが目指す、当事業での今後の展望をお聞かせください。
片岸さん
社会実験では、一方通行と道路空間を使った賑わいづくりなどを実験させていただきました。そこでの提言をもとに「エリア全体の交通がどうあるべきか」というプラン作りが次の大きなミッションだと考えています。緻密に設計された空間が人々の手に渡ったとき、その後の使い道をどうしていくのか。ここをしっかりとやっていきたいですね。 また、沿道の住民の方の意見に傾聴し、市の職員さんやデザイン会議メンバーとともに「人」が中心の道路空間づくりを目指したいと思っています。

片岸 将広さん

(日本海コンサルタント)

profile

(株)日本海コンサルタント社会事業本部計画研究室/金沢市公共レンタサイクル「まちのり」企画・運営担当/金沢片町まちづくり会議事務局スタッフ/大阪府大阪市出身(第二故郷:島根県松江市)/東住吉工業高校ではバスケに明け暮れ、松江高専で土木を学び、金沢大学に編入学。学生時代に都市計画を学び、現在は建設コンサルタントとして都市・地域計画や自転車交通計画等を担当。「まちのり」の企画・事業化に携わるほか、「サイガワあかりテラス」の企画・開催も支援。プランナー&プレイヤーとしてまちに関わることに生きがいを感じるタイプ。2017年度より長門湯本プロジェクトのデザイン会議メンバー。

※長門市の公式ホームページに移動します。