長門湯本report:萩焼深川窯の新鋭作家と大谷山荘による「地の器と 地の食と」が開催されました。

2月20日(水)、長門湯本温泉の老舗旅館 大谷山荘にて、萩焼深川窯の新鋭作家と大谷山荘による器と食のコラボレート企画「地の器と 地の食と」が開催されました。360年の伝統を受け継ぎつつ、新たな作風を生み出し続ける若き作陶家と、地域の良質な食材にこだわり、丁寧なおもてなしを探求する日本料理「雲遊」の武田純一料理長との、豊かな共演の模様をお伝えします。

会場となったのは、大谷山荘のメインダイニング「瑞雲」。重厚な石材の廊下を抜けて、会場に足を踏み入れれば、ふんだんに使われたガラスと落ち着いた照明が心地よい、大人の空間がひろがります。

席につくと、テーブルの上には、微かに色の異なる2種類のお品書きが置かれています。「地の食」には本日のお料理の献立が、「地の器」には、メインの料理に使われる器の作品名と作家のプロフィールが丁寧に記され、期待が高まります。

開宴の挨拶に登場したのは、大谷山荘の大谷和弘専務と三ノ瀬・萩焼深川窯の坂倉善右衛門氏、田原崇雄氏、坂倉正紘氏、そして武田純一料理長。今回のイベントのディレクターでもある大谷専務からは、「地元長門の食材を伝統ある地元の器で、じっくりと楽しんでいただける貴重な機会」と開催の喜びが伝えられました。

別邸音信の武田料理長。日本料理の本場京都で研鑽を重ね、確かな技術に支えられたおもてなしの料理は、市内外で高い評価を受けています。

ここからは、実際にテーブルに供された素晴らしい会席料理と器の一部をご紹介します。まずは、

先 附
長門蕪 仙崎黒雲丹
 油谷車海老
 菜種 山葵
 美味ジュレ 穂紫蘇

萌黄ひずみ鉢
作 坂倉 正紘

ほっこりと煮込まれた長門市産の蕪に、仙崎漁港に水揚げされた新鮮な黒雲丹と油谷湾で育った車海老を添えて。器の落ち着いた萌黄色が、雲丹や車海老の鮮やかさを引き立てます。
料理の提供に合わせて、各作家からの作品についての説明が行われました。萌黄ひずみ鉢を制作した坂倉正紘さんからは、新しい試みとしての色合いや、個々に微妙に異なるひずみの面白さなどが語られました。

続いては、

造 里
地魚三種盛り
 雪ノ下 山葵 紅蓼
 土佐醤油 丸三醤油
ふく刺し
 ポン酢


月煌彩長方皿
作 坂倉 善右衛門

月の夜を想わせる凛とした佇まいの器には、瑞々しい地魚が美しく盛り付けられて、宝石のようにきらめいています。舌はもちろんのこと、眼でもじっくりと味わいながらいただきました。
月煌彩長方皿を制作した坂倉善右衛門さん。従来の萩焼にはあまりみられない黒を基調にした月煌彩には、同じく山口の伝統工芸として知られる赤間硯の粉が含まれているとのことで、素材を含め日々の研鑽・工夫を重ねている陶芸家の真摯な姿勢が感じられます。
ふと目をこらすと、各席に置かれた箸置きも作家たちの手によるものでした。聞けば、この日のためにわざわざ特別に箸置きを作った作家さんもいらしたそうです。(上段より 田原崇雄・坂倉正紘・坂倉善右衛門)

替 肴
油谷蒸し鮑
 長門フルーツトマト
 長門胡瓜 茗荷
 木の芽 土佐酢


流白釉鉢
作 田原 崇雄

ゆっくりと流れる釉薬が表す景色はどこか光輪を感じさせ、中央に盛り付けられた油谷湾産の蒸し鮑を美しく引き立てます。箸をつけるのが勿体無いような、見事な一品でした。
流白釉鉢の作者、田原崇雄さん。インスピレーションの一つとして、三ノ瀬に現存する萩焼深川古窯跡群をあげるなど、伝統の丁寧な継承を続ける一方、遊び心のある作風も魅力の一つです。
お料理と一緒にいただいた山口県の地酒は、獺祭、東洋美人、音信。3作家のぐい呑にて飲み比べるという、なんとも贅沢な時間が流れます。
食事の最中には、折々に陶芸家の方々がテーブルに来てくださり、各々の作風やこだわりなどについてフレンドリーにご説明いただく場面も。みなさんの人柄も伺えて、萩焼のあたたかな魅力が一層伝わってきます。
他にも、お椀や焼き物、ご飯など、会席料理の作法に則って一品ずつ用意された料理は、どれも丁寧で豊かな味わい。お腹がいっぱいになりつつも、ついつい箸が止まりません。
肴として出された「ふく白子伝法焼き」には、坂倉善右衛門さんのこんなに可愛らしい箸置きが。

そして最後は、茶陶として名高い萩焼深川窯にふさわしい、お抹茶での締めくくり。

甘 味
椿餅
山口外郎
抹茶


銘々皿三種
抹茶碗三種


田原 崇雄
坂倉 正紘
坂倉 善右衛門

気がつけば、2時間あまりの食事会も、あっという間にお開きに。スタッフの方々の素晴らしいホスピタリティもあり、高級感に包まれながらも、とても心地の良い宴となりました。
この土地で作られる、この土地ならでは料理と器の幸せな出会い。日々の研鑽と熟練の技があってこその素晴らしい完成度で、参加した方々もとても満足していた様子です。土地の魅力を理解し、新しい表現を加えて伝えてく事の大切さを実感できた夜でした。 大谷山荘のスタッフの皆様、萩焼深川窯の陶芸家の方々、本当にお疲れ様でした!
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